酒の歴史をたどると起源はミード ワイン発祥はジョージア、ビールは古代メソポタミア

AI要約

お酒の歴史は古く、複雑で、最古の酒は蜂蜜酒(ミード)だとされる。

アルコール飲料の痕跡が約9000年前の中国や約8000年前のジョージアで見つかっており、お酒の存在はかなり古い。

お酒は健康や宗教儀式に関連付けられ、共同体の絆を強めてきた。

酒の歴史をたどると起源はミード ワイン発祥はジョージア、ビールは古代メソポタミア

ヒトとお酒の関係は太古の昔から続いてきた。お酒はいつからあるのか? その魅力は何なのか? 歴史をひもとく。

ひとくちにお酒といっても、ビールにワイン、ウイスキーに焼酎、日本酒と多種多様だが、その定義は「アルコール(エタノール)を含む飲料」と至ってシンプル。しかし歴史は古く、複雑だ。

アルコールは、微生物(酵母)が、糖分に働きかけることでできる。最古の酒と言われているのは蜂蜜酒(ミード)で、蜂蜜を原料とする醸造酒。蜂蜜と水が自然に混ざり合って発酵が始まり、偶然できあがった「不思議な水」を誰かが飲んだと考えられている。

お酒を人間がつくり始めた時期については特定は困難だが、『酒の起源』を書いたアメリカの研究者パトリック・マクガヴァンさんは約9000年前の中国の遺跡からアルコール飲料の痕跡を発見し、ジョージアで出土した約8000年前の遺物からワインの痕跡を見つけている。

ビールは古代メソポタミアで盛んにつくられていたという。醸造酒を加熱する工程を経る、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒が登場するのは、もっと後のことだ。

今日と異なり、水をそのまま飲むのは不衛生な時代、ワインやビールは安心して摂取できる水分だった。カロリーも高く、質素な食事を補った。まさに「命の水」。

ただ、お酒が持つ重要で、魅力的な側面はほかにある。「酔い」だ。

口から入ったアルコールは胃と小腸で吸収され、血液中に入って全身をめぐる。「酔い」はアルコールが脳に到達して生じる。理性をつかさどるとされる大脳新皮質の働きが鈍くなる一方、感情、食欲などの本能をつかさどる部分の働きが活発になる。

こうした効果は、古くから宗教や祭事と深く結びついた。キリスト教文化圏ではワインが重視され、特に赤ワインはキリストの血として聖餐(せいさん)に用いられるように。修道院ではブドウを栽培し、ワインをつくった。

高級シャンパンの代名詞、ドンペリはフランスの修道士ドン・ピエール・ペリニョンにちなむ。日本でも古くから豊かな収穫を祈るため、酒を神に供え、飲むことで厄払いをしてきた。同じさかずきで飲み、共同体の絆を強めてもきただろう。