おかしい、定説に従うと「惑星の軌道」はあまりにも…400年前にケプラーが解き明かした「宇宙の秘密」

AI要約

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、科学の大発見の歴史を紹介。

親子の対話形式で科学の歴史をわかりやすく語る新刊『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの発見物語を抜粋。

話題の科学書を再編集したこの記事では、ケプラーの円軌道の研究に焦点を当てる。

おかしい、定説に従うと「惑星の軌道」はあまりにも…400年前にケプラーが解き明かした「宇宙の秘密」

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか?

親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語の一端をご紹介しよう。

*本記事は、ヨセフ・アガシ著/立花希一訳『父が子に語る科学の話 親子の対話から生まれた感動の科学入門』(ブルーバックス)をオンライン向けに再編集したものです。

ここで、ヨハネス・ケプラーについて、もう少し話をしたほうがいいと思う。かれはドイツの数学者かつ天文学者で、ガリレオの友人でもあった。ケプラーはひじょうに宗教的な人で、太陽は宇宙の中心に置かれた、神の象徴であるという観念に興味を抱いていたので、コペルニクスに惹きつけられた。

かつてケプラーはコペルニクスの理論についてこう言った。「私は心の底からコペルニクスの理論が真理であることを証言してきましたが、さらに信じられないほど感きわまる喜びをもって、その理論の美しさを観賞しています」と。

ケプラーはまた、惑星が円軌道を動いているにちがいないと確信していた。当時のケプラーはまだ若く、数学の知識をほとんどもっていなかったが、自然の書物が完全であることと、数学も完全であることを信じていた。ケプラーは数学を大いに学び、おそらく当時で世界最高の数学者となるまでになった。

ケプラーはいくつかの本を書いたが、その本の中でかれはまちがいをおかしていた。最初のうちケプラーは、実際のところ、自分のまちがいが重大問題だとは思っていなかった。したがってかれは、自分を少しばかりごまかしていたのだ。それからケプラーは、さらに注意深く考えた末、もう一冊の本を書いた。その中で、ケプラーは、前の本のまちがいに気づいたので、今回はよりよい理論を提示したいと語っている。

ケプラーは当時入手しうる最良の観測(ケプラーの師であり同僚でもあったティコ・ブラーエによってすでにおこなわれていた観測)を用い、とても正確な計算をおこなった。ケプラーはさらにいっそう正確な円軌道の計算をなしとげ、自分の考えうるあらゆる可能な円軌道に観測をあてはめようと試みた。

かれはとても優秀な数学者だったので、著しく正確な結果、他の人が出した結果よりもはるかに正確な結果を得た。それでも、ケプラーは満足しなかった。