「すごい科学者」は何が違うのか…天才ガリレオがたどり着いた「納得の結論」
科学の歴史を親子の対話形式で紹介する『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの発見物語を要約して紹介。
科学者にはまちがいがあることもあり、観察と矛盾しない最良の考えを探し続ける姿勢が重要である。
コペルニクスの地動説からアインシュタインの相対性理論まで、科学の発展における偉大な科学者たちの寄与と議論を解説。
古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか?
親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語の一端をご紹介しよう。
*本記事は、ヨセフ・アガシ著/立花希一訳『父が子に語る科学の話 親子の対話から生まれた感動の科学入門』(ブルーバックス)をオンライン向けに再編集したものです。
そもそも、なぜわれわれは科学者を信じるべきなのか。科学者といえどもまちがいをおかすことを知っているとしたら、なぜ科学者を信じるのだろう。
コペルニクスの理論を考えてみよう。その理論によると、太陽が宇宙の中心にあって、惑星は太陽のまわりを円軌道で動いているという。しかし太陽はあくまで太陽系の中心であり、宇宙の中心でないことを私たちは知っている。
コペルニクスはまちがったことを述べていた。だとすると、ほとんどの場合、科学者がまちがうことはないというのは、あまり正しいとは言えない。なぜなら、歴史に名を残す科学者であるコペルニクスの言ったことがまちがっていたのだから。
さらに進んで、アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)の理論を見てみよう。アインシュタインによれば、そもそも宇宙には中心などなく、科学者は計算のために、どこでも好きなところに中心を置くことができるという。実際のところ、本当に中心はないのだ。
したがってここには、科学者コペルニクスに異議をとなえるもうひとりの科学者アインシュタインがいることになる。このふたりの考えが異なるのであれば、どちらかがまちがっている。両方ともまちがっているかもしれないが、少なくともどちらかはまちがっているにちがいない。
ここへ来てやっと、道具や観察は助けにはなるかもしれないが、すべてのまちがいをとり除いてくれるわけではなく、科学者が正しいということを保証してくれるものではないということがわかったはずだ。
しかし、次のことは言える。実験や観察について知っている科学者は、実験や観察について知らない科学者がおかすようなまちがいはしないと。
そこで、ひとつ言えることは、われわれは「観察と矛盾しないような最良の考えを探し求めている」ということだ。
コペルニクスにはふたりの偉大な追随者がいるが、そのひとりがガリレオ・ガリレイという人物だ。かれは16世紀末から17世紀初めに、イタリアで学び、研究した。
ガリレオは、われわれが自分の目だけを頼りにしたら混乱するだろう、そうではなく、観察に先だって、われわれは自分が何を見つけたいと思っているのかについて考えなければならないのだと言った。
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さらに「父が子に語る科学の話」シリーズの連載記事では、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語を紹介していく。