古田岐阜県知事がウズベク「ナボイ劇場」訪問 抑留者が建設、苦労しのぶ

AI要約

古田知事はウズベキスタン訪問中、日本人抑留者が建設に関わった「ナボイ劇場」や墓地を訪れ、両国のつながりを深めることを誓った。

日本兵の技術と勤勉さが尊敬され、劇場は大地震にも耐えるシンボルになっている。

古田知事は大臣との意見交換を通じ、今後の交流促進や文化交流の重要性を確認し、サマルカンド州政府との交流イベントについて話し合った。

古田岐阜県知事がウズベク「ナボイ劇場」訪問 抑留者が建設、苦労しのぶ

 【タシケント=本社・稲葉亮】中央アジア・ウズベキスタンを訪問中の古田肇岐阜県知事は21日、首都タシケント市で、戦後ソ連によって抑留された旧日本兵が建設に関わった「ナボイ劇場」を訪れ、日本人抑留者が眠る郊外の墓地に献花した。劇場は大地震が起きても壊れることがなく、親日的な国民性のシンボルになっている。一行は両国の歴史を振り返りながら、心のつながりをさらに深めることを誓った。

 「極東から強制移送された数百名の日本国民が、建設に参加し、その完成に貢献した」。1996年に劇場に設置された石碑に、日本語でこう書かれている。

 ウズベキスタン国立世界言語大(タシケント市)で日本語を教えるマリカ・イブラギモヴァさん(54)が劇場を案内し、66年に市内の約7割の建物が倒壊する大地震が起きてもほぼ被害がなかったと紹介。「日本兵はダムや工場も建て、ウズベキスタン人から尊敬を集めている」と語った。技術の高さに加え、厳しい環境に耐えながら勤勉に仕事に励む姿が、日本人への敬意につながっているという。

 日本人抑留者が眠る郊外のヤッカサライ地区にある墓地では、ウズベキスタン語で「平和と友好のために互いに戦争しないように努力しましょう」と刻まれた石碑があった。ガーベラの花をささげた古田知事は、過酷な環境下で仕事を成し遂げたことについて、日本人らしさを象徴しているとし「改めて厳粛な気持ちになった。交流する上でも、大切な記憶として残していかなければならない」と力を込めた。

 古田知事は、学生時代に日本の大学へ留学した経験を持つアジズ・アブドゥハキーモフ生態・環境保護・気候変動大臣と面談し、今後の交流について意見交換した。観光部局も所管するアブドゥハキーモフ大臣は、さまざまな言葉や民族、文化が共存していることがウズベキスタンの魅力とし「ウズベキスタンのアイデンティティとして一番重要なのが歴史で、観光誘客でも軸になる」と述べた。

 会合では、前日の20日に県と交流に向けた基本合意書に調印したサマルカンド州政府が「サマルカンドの日」と定める10月18日に、岐阜で催しを開くことについても話題に上がり、アブドゥハキーモフ大臣は「必ずいいプログラムをつくりたい」と力を込めた。古田知事は「まずは岐阜がウズベキスタンを知るきっかけをつくりたい」と応じた。

 この日は、コンゴラットボイ・シャリポフ高等教育・科学・イノベーション大臣とも面談した。