ガリレオがその生涯で犯した「最大のまちがい」とは…優秀な人ほど陥りやすい「悪魔の証明」

AI要約

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、科学の歴史を解き明かす大発見の物語。

16~17世紀の科学者、ヨハネス・ケプラーについて言及。彼が惑星が円運動しないことを発見し、コペルニクス主義を訂正。

ガリレオやケプラーが自らの理論の難点を誠実に直視し、改善する姿勢を持つことで科学の発展が促進されることを強調。

ガリレオがその生涯で犯した「最大のまちがい」とは…優秀な人ほど陥りやすい「悪魔の証明」

古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか?

親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』から、偉大な科学者たちの驚くべき発見物語の一端をご紹介しよう。

*本記事は、ヨセフ・アガシ著/立花希一訳『父が子に語る科学の話 親子の対話から生まれた感動の科学入門』(ブルーバックス)をオンライン向けに再編集したものです。

次は、もうひとりの偉大な16~17世紀の科学者、ヨハネス・ケプラー(1571~1630)について話すことになる。かれは、惑星が円運動しないことを発見し、コペルニクス主義を訂正したのだ。

だが、ここでは、次のことを強調しておこう。ガリレオはかれの論敵がいかにまちがっていたかということやコペルニクス主義がいかに正しいかということを示したけれども、かれは難点についても知っていて、しかもその難点を誠実に直視したということだ。科学者は、自分自身の理論の難点について考えれば考えるほど、自分自身のまちがいを発見し、自分の理論を改善するチャンスをいっそう得ることになるのだ。

ガリレオのおかげで、多くの人々は、あの尊敬を集めたギリシャ人、すなわちアリストテレスの理論に疑問を抱くようになった。しかしながら、これらの人々はガリレオや他のコペルニクス主義者たちに厳しい要求を突きつけた。かれらは言った。「われわれが正しいのかまちがっているのかは関係ない。もし、われわれに話を聞いてほしいならば、あなたの正しさをわれわれに証明してみせなければならない」と。

ガリレオは自分の正しさを証明しようとしたが、これがかれの最大の「まちがい」だった。ガリレオは、われわれみんながまちがいをおかすことを知っていたし、しかも、たえずそう述べていたにもかかわらず、かれの論敵から強く要求されたために、いつか真理が発見されて、まちがいのまったくない日がくるのを待ち望み始めてしまった。

今度は、ガリレオとケプラーが解決した難点について話すことにしよう。またかれらがおかしたまちがいについても議論しなければならないだろう。これまで積み残してきた問題についてもだ。たとえば、われわれはガリレオやケプラーがまちがいをおかしたことを知っているのに、いったいなんでかれらを信じるのだろうかという問題について。