1.5億年前のステゴサウルス化石「エイペックス」、史上最高額70億円で落札

AI要約

1億5000万年前のステゴサウルスの化石が17日、米ニューヨークのサザビーズで史上最高額の4460万ドルで落札された。

落札者はケン・グリフィンと報じられ、化石は米国内の機関で公開展示される予定。

過去の恐竜化石の高額落札記録も紹介され、T・レックスやその他の恐竜の化石が含まれている。

1.5億年前のステゴサウルス化石「エイペックス」、史上最高額70億円で落札

1億5000万年前のステゴサウルスの化石が17日、米ニューヨークのサザビーズで競売に掛けられ、化石では史上最高額となる4460万ドル(約70億円)で落札された。落札予想価格の400万~600万ドル(約6億~9億円)を大きく上回った。

発見した古生物学者によって「Apex(エイペックス)」と名付けられた化石は、高さ約3.4メートル、全長約8メートル。サザビーズによれば「ほぼ完全骨格で、驚くほど保存状態が良い」という。

サザビーズは化石の発見から売却まで古生物学者と緊密に協力し、発掘、修復、骨格の組み上げのすべてを記録した。競売会社がこうした取り組みを行うのは初めて。

落札者は、ヘッジファンドのシタデル創業者でフォーブス世界長者番付41位の富豪、ケン・グリフィンだと報じられている。サザビーズによると、グリフィンは化石を米国内の機関に貸し出して公開展示したい考えで、落札後に「エイペックスは米国で生まれた。米国に留まるだろう」と述べたという。

出品者の身元は明らかにされていないが、サザビーズは「著名で尊敬を集めている商業古生物学者」で、本人所有の土地でこの化石を発見したとしている。

エイペックスは、1880年代から化石が多く見つかっている米コロラド州のモリソン層で2022年5月に発見された。英ロンドンの自然史博物館に展示されている「ソフィー」と命名されたステゴサウルスの化石に最もよく似ているが、サザビーズによれば体格はエイペックスのほうが約30%大きい。

エイペックスの落札価格は、「スタン」と名付けられたティラノサウルス・レックス(T・レックス)の3180万ドルを上回り、史上最高額を更新した。

■恐竜化石の高額落札記録

※円換算はすべて現在のレート

1. エイペックス:4460万ドル

2. T・レックス「スタン」:3180万ドル(約50億円)

骨格の約70%と完全な頭骨をもつこの化石は、2020年にクリスティーズで競売に掛けられ、アラブ首長国連邦のアブダビ首長国に売却された。同地に新設される自然史博物館に2025年から展示される予定だ。

3. T・レックス「スー」:836万ドル(約13億円)

これまで発見された中で最も完全度の高いT・レックスの化石で、競売に掛けられ落札された初の恐竜化石でもある。発見した古生物学者の名前にちなんでスーと名付けられ、1997年にサザビーズの競売でシカゴのフィールド自然史博物館が競り落とした。

4. デイノニクス「ヘクター」:1240万ドル(約19億5000万円)

デイノニクスは、映画『ジュラシック・パーク』に登場するヴェロキラプトルのモデルとなった恐竜だ。2022年に予想価格400万~600万ドルで競売に掛けられ、2倍以上の高値を付けた。落札者の身元は公開されなかったが、化石はその後デンマーク自然史博物館に展示された。

5. トリケラトプス「ビッグ・ジョン」:770万ドル(約12億円)

これまで発見された中で最大のトリケラトプスの化石で、2021年に仏パリで匿名の個人収集家に売却された。現在は米フロリダ州タンパのグレイザー子供博物館に展示されている。

6. T・レックス「TRX-293トリニティ」:613万ドル(約9億6400万円)

3体のT・レックスの骨を組み合わせて構成した標本で、2023年にスイス・チューリッヒで個人収集家に売却された。

7. 無名のゴルゴサウルス:610万ドル(約9億6000万円)

全長約6.7メートル、体高約2.7メートルのT・レックスの近縁種ゴルゴサウルスの部分骨格。2022年に匿名の落札者に売却された。

8. T-レックス「マキシマス」:610万ドル

T-レックスの頭骨としてはこれまで発見された中で最も完全度が高く保存状態の良い化石で、2022年に匿名の落札者に売却された。頭骨の完全度は75%で、重さは約72.7キロ。競売では1500万~2000万ドル(約23億6000万~31億5000万円)の値が付くとみられていたが、落札額は予想を大きく下回った。