小惑星「ベンヌ」の石が日本にやってくる! リュウグウとの比較でわかることとは?

AI要約

2023年9月に地球にもたらされたベンヌからのサンプルは、NASAの探査機オサイリス・レックスによって回収され、日本にもたらされることが決定した。

ベンヌは、炭素や有機化合物、水を多く含んでいるB型小惑星であり、太陽系の誕生期の情報が残っているとされている。

オサイリス・レックスは121.6gという期待を上回る量のサンプルを採取し、探査ミッションは大成功を収めた。

小惑星「ベンヌ」の石が日本にやってくる! リュウグウとの比較でわかることとは?

太陽系や生命の起源の手がかりがあるかもしれない小惑星「ベンヌ」のサンプル(石や砂などの試料)が、地球にもたらされたのは2023年9月のことだった。

2020年に地球を飛び立った、米国航空宇宙局(NASA)の探査機「オサイリス・レックス」が、はるばるベンヌへ赴き、地表に舞い降りてサンプルを回収し、地球に送り届けたのである。

そして、そのサンプルの一部が、もうすぐ日本へやってくる。日本も2020年12月、小惑星「リュウグウ」の岩石を持ち帰ることに成功しており、両者を比べて研究することで、より多くのことがわかると期待されている。

■ベンヌのサンプルからわかったこと

「ベンヌ(Bennu、1999 RQ36)」は1999年に発見された小惑星で、直径は約500m、そろばん玉のような形をしており、地球に近づくような軌道で太陽を回っている。

ベンヌは、炭素や有機化合物、水を多く含んでいる「B型小惑星」に分類される。同じような小惑星に、探査機「はやぶさ2」が訪れた「リュウグウ」のようなC型小惑星があり、B型はC型の一種に分類される。

太陽系はいまから約46億年前に誕生し、長い年月をかけていまの姿へ形づくられていったと考えられている。そのなかで、私たちが住む地球などの惑星は、もとは小さな塵から始まり、それらが徐々に集まっていって形作られていったとされるが、その過程でいったんドロドロに溶けてから固まっているため、元々の物質がどんなものだったのかという情報は失われてしまっている。

一方、ベンヌのような小惑星は、ほぼ生まれたままの姿で存在し続けているため、太陽系ができたころの物質や情報が残っていると考えられており、さらに有機物や水は、生命の起源や地球の海の誕生を探る重要な鍵になるとも考えられていることから、多くの研究者が注目している。

このベンヌに向かって、NASAが2016年に打ち上げたのが「オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)」である。2018年12月にベンヌに到着し、まずまわりを回りながら探査をしたのち、2020年10月にベンヌに着陸し、石や砂などのサンプルを採取した。

そして2023年9月、探査機が地球に接近したところで、サンプルが入ったカプセルが切り離され、地球に送り届けた。

探査機の開発当初、研究者たちは約60gのサンプルが手に入ると期待していた。ところが実際にはそれを大きく超える量の採取に成功した。採取の過程で失われてしまったものもあるものの、最終的に121.6gという、まさに濡れ手に粟の大成功だった。