意外に月周回軌道も混雑?–韓国の月探査機、ほかの探査機との「衝突警告」を18カ月間で40件

AI要約

韓国航空宇宙研究院(KARI)の月探査機「タヌリ」(Danuri)が、他の宇宙機との衝突の可能性があるという「レッドアラーム」を受け取った件数が40件もある。

タヌリは2022年に打ち上げられ、月周回軌道で科学研究や宇宙技術の試験を行っている。

KARI、NASA、インドの宇宙機関が月周回軌道の衝突警告を共有し、予防措置が必要な場合もある。

意外に月周回軌道も混雑?–韓国の月探査機、ほかの探査機との「衝突警告」を18カ月間で40件

韓国航空宇宙研究院(KARI)の月探査機「タヌリ」(Danuri)が、他の宇宙機との衝突の可能性があるという「レッドアラーム」を過去18カ月間に40件も受け取ったことが報告された。海外メディアのSpaceNewsが報じた。

 タヌリは2022年8月に打ち上げられた探査機で、同年12月に月周回軌道に突入。科学探査機器などで月環境の科学研究や宇宙インターネット技術の試験、将来の月探査機の着陸地点の探索を進めている。

 タヌリが受けた警告は、KARIの月探査機「Korea Pathfinder Lunar Orbiter(KPLO)」や米航空宇宙局(NASA)の「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」、インド宇宙研究機関の「Chandrayaan-2」(チャンドラヤーン2号)の接近によるものだ。3機関は衝突警告を生成するNASAのプラットフォーム「MADCAP」で宇宙機の軌道に関する情報を共有している。

 KARI上級研究員のSoyoung Chung氏によれば、軌道データの改善により衝突の危険がみられないため、警告の一部は自然に解消されるという。一方で「いくつかの(月を周回する)衛星は潜在的な衝突を回避するために特別な操作が必要」となり、燃料の消費や宇宙機の寿命を縮める可能性があるという。

 韓国では、2024年6月に新しい宇宙機関として韓国宇宙航空庁(Korea AeroSpace Administraion:KASA)が発足。KASAは、さまざまな省庁に分散している宇宙開発計画を科学技術情報通信部(Ministry of Science and ICT:MSIT)のもとに統合管理するという。KARIが進めている宇宙開発も引き継ぐ。