伊東にミニシアター「金星シネマ」14日開館 “まちの映画館”目指す カフェや野菜直売所併設

AI要約

伊東市に14日、映画館「金星(きんぼし)シネマ」が開館。都内から移住した梅澤舞佳さんが館長を務め、ミニシアターとして37年ぶりの映画館復活。映画好きの挑戦に注目。

金星シネマは16席の座席数を持ち、3~4作品を3週間ごとに入れ替える。舞佳さんは中高から映画館が好きで、映画美学校で学んだ後、移住を決意。

地元で協力する農園経営者や編集者が後押しし、映画館とカフェ、直売所を組み合わせたまちの映画館を目指す。さまざまなカテゴリに分類できる。

伊東にミニシアター「金星シネマ」14日開館 “まちの映画館”目指す カフェや野菜直売所併設

 伊東市に14日、映画館「金星(きんぼし)シネマ」が開館する。都内から移住した梅澤舞佳さん(25)が館長を務め、1スクリーン、座席数16席のミニシアター。カフェや野菜の直売所を併設し、暮らしの延長上にある〝まちの映画館〟を目指す。同市内では37年ぶりの映画館復活という。映画好きが高じた女性の県東部初となるミニシアターの挑戦に注目が集まる。

 金星シネマは国道135号のそばにあり、元クリニックの建物を改装した。1日3~4作品を3週間ごとに入れ替える。

 舞佳さんは中高の頃からほぼ毎日通うほど「映画館という場所が好きだった」。映画美学校(東京)で学んだ後、ロケ地探しなどスタッフとして映画作りにも携わった。2022年に父庸浩さん(64)と東京との2拠点生活を始め、今年に入り完全移住した。

 同市内はJR伊東駅前に「キネマ通り」の名称が残るように、かつては多くの映画館でにぎわったが、現在は三島、沼津などへ出かけるしかない。舞佳さんが4月、「よそ者、若者の思いつき。一日中過ごせる映画館を作りたい」と呼びかけると、学生時代の仲間10人が駆けつけた。

 客席のひな壇や防音壁の設置など、劇場はすべて手作り。客席の間を少し空け、ゆったりとした空間を追求した。観賞前後も待合室やカフェでくつろげる。

 作品選びは舞佳さんが目利き力を発揮する。「ミニシアターによってはアート系など個性を強く出すところもあるが、私は客層、年齢を問わず楽しんでもらえる作品を選びたい」。オープニングを飾る4作はヒューマンドラマ、サスペンスなど国内外の話題作が並ぶ。広告デザインを手がける編集者の庸浩さんが、ウェブやチラシ作成などで運営を後押しする。

 地元で農園を経営する萩原直人さん(51)は、日々立ち寄ってもらう場を目指して野菜販売に協力する。「伊東は意欲的な移住者が多く、新しい空気をもたらしてくれる。舞佳さんの行動力を応援したい」と期待する。

■興行の形も多様に

 コミュニティシネマセンター(東京)によると、国内の映画館数は2005年の806館から23年は592館に減少した。多スクリーンのシネコンとミニシアターを除く館の減少が主な要因。

 ミニシアターは老舗の閉館が相次ぐ一方、新規開館も増え、05年の107館から23年は140館に。小学校の教室を改装したミニシアターなど、従来の興行館とは異なる上映の場を設ける動きが続いているという。岩崎ゆう子事務局長は「かつては自分の街にあったという思いから、上映回数が少なくても、1スクリーンでも、毎日でなくても映画館を作りたいという動きが全国的に広がっている」と話す。

 県映画興行協会に加盟する県内の映画館数は、「金星シネマ」の開館で15館になる。