YCAMで映画「アフターノート」上映 映画館の記憶まとめたドキュメンタリー【山口】

AI要約

山口市にかつてあった映画館の足取りをたどるドキュメンタリー映画「アフターノート」がYCAMで上映中。市民の映画館にまつわる断片的な記憶を一つの物語としてまとめ、関係性を浮かび上がらせている。

映像作品を79分に拡張し、英語字幕を付けて再編集。現代美術家の志村信裕さんとYCAMシネマのキュレーター前原美織さんが200人以上に取材し、過去と現在を交差させながら挿話を緩やかにつなげていく。

志村さんは作品が普遍的なテーマで、英語字幕を付けることで世界の人に見せたかったと語る。トークイベントでも映画館を描く理由や製作の背景について語られた。

YCAMで映画「アフターノート」上映 映画館の記憶まとめたドキュメンタリー【山口】

 山口市にかつてあった映画館の足取りをたどるドキュメンタリー映画「アフターノート」が、中園町の山口情報芸術センター(YCAM)で上映されている。市民の映画館にまつわる断片的な記憶を一つの物語としてまとめ、その関係性を浮かび上がらせている。13日まで。無料。

 昨年11月25日~今年3月17日まで同施設で展示されていた映像作品を上映時間79分に拡張し、英語字幕を付けて再編集した。

 現代美術家の志村信裕さんと施設内の映画館「YCAMシネマ」のキュレーター前原美織さんが、資料を基に当時の観客や経営者ら計200人以上に取材。過去の映画館の写真と現在の跡地の映像を交差させながら、当時公開されていた映画の記憶、映画館で起きた小事件、天窓から映画をのぞいた思い出などが各登場人物から語られ、一つ一つの挿話が緩やかにつながっていく。

 公開初日の7日には、志村さんと前原さんによるトークイベントが行われた。志村さんは「製作中から映画館にまつわる思い出は普遍的なテーマだと感じ、日本にとどまらず世界の人に見せたかった。英語の字幕を付けたことで作品として完成した」と手応えを語った。

 質疑応答では、作中で大内塗や時計職人の手作業風景が多く描かれる理由について参加者から問われた。志村さんは35㍉フィルムを映写機で上映することは、ある種の職人技だと考え、かつて複数の映画館があった中心商店街の職人の現在の姿を捉えることが裏のテーマだったと答えた。

 11日からの上映時間は午後1時10分から。