年間10万人が訪れる『大雪山国立公園』で危惧される“登山者とクマ”の距離感 接近撮影や荷物を置いてのピストン登山など…クマを人慣れさせ、引き寄せる危険な行動とは
大雪山国立公園は北海道の自然を満喫できる場所だが、人慣れしたクマが問題となっている。
登山者が荷物を放置するとクマに引き寄せられる可能性が高まり、危険を招くことがある。
クマを近くで写真を撮ろうとする登山者も増えており、安全な行動が求められている。
雄大な自然が魅力の、北海道の『大雪山国立公園』。
多くの人に親しまれる一方で、クマによって、人が被害を受ける危険が高まる事態が起きています。
“北海道の屋根”と呼ばれ、国内最大級の面積を誇る『大雪山国立公園』。毎年10万人近くの人が訪れる人気の山で、いま…。
(クマの写真はどこで撮った?)
登山者
「この先です」
7月、白雲岳に現れたクマです。
大雪山系には、多くのクマが生息していますが、人間を見ても逃げない“人慣れ”したクマが問題となっています。
山﨑裕侍記者
「白雲岳の分岐に来ています。ここから向こうに行けば、白雲岳避難小屋に行きます。画面右手に進めば…白雲岳に行きます。白雲岳にピストンで行くためにザックをこのように置いて、空荷でいく登山客が多いです」
目的の山に早く登りたい。そんな思いから、荷物を置いていく登山者が多いといいます。
しかし、クマが、その荷物の中の食料を食べてしまうと、「人間の持ち物は美味しい」と学習し、人に付きまとう危険性が高まります。
環境省 大雪山国立公園管理事務所 村岡龍岳アクティブ・レンジャー
「人やものに対して執着してしまうと、大きな事故につながりかねないので、こういったことは控えてもらうよう、環境省として周知していきたい」
荷物を置いていた登山者が戻ってきました。
環境省 大雪山国立公園管理事務所 村岡龍岳アクティブ・レンジャー
「白雲岳山頂まで行った?」
登山者
「いや途中で…。クマがいました」
環境省スタッフ
「デポ(荷物を放置)すると、ちょっかいかけられると思う。この辺、クマが多い」
登山者
「すみません」
さらに…。
白雲岳避難小屋 田村萌 管理人
「ここテント場なんですけれど、雪渓の下に水たまりがあるが、横の斜面から現れたり…」
ここ数年、子連れなど、複数のクマが出没。そのクマを撮影しようと近づく登山者がいることも問題になっています。
北海道山岳整備 岡崎哲三 代表
「ヒグマが、テント場のすぐ脇の草地を食べに来た。親子クマだった。10人ぐらいの登山者がロープの際に、ずっと並んで写真を撮る。管理人が『できるだけ離れてくれ』と、さんざん声かけしても、全く動かない、登山者が」