富士山「お鉢巡り」静岡新聞社記者の登山ルポ 剣ケ峰周辺、1周3キロ

AI要約

山の日に富士山を訪れる多くの登山者たちによって賑わう山頂の様子。

頂上一帯のお鉢巡りコースや剣ケ峰など、富士山の見所と景色について。

富士山登山者の感想や準備、そして登頂後の充実感について。

富士山「お鉢巡り」静岡新聞社記者の登山ルポ 剣ケ峰周辺、1周3キロ

 11日の「山の日」にお盆休みも重なり、山行を計画している人も多い時季だ。7月10日に富士宮、須走、御殿場の静岡県側3ルートが開通した富士山には、今夏も多くの登山者が足を運んでいる。8月初旬、日本一の霊峰を訪ね、にぎわう山頂一帯を巡った。

 富士山頂は中央部に大きな火口があり、外縁部には標高3776メートルの国内最高地点「剣ケ峰」をはじめ、朝日岳や伊豆岳など、いくつかのピークが連なる。外縁部を1周する約3キロの「お鉢巡り」のルートが整備され、休憩せずに歩けば1時間半~2時間程度で回れる。雲がなければ静岡県側の眼下に富士、富士宮、御殿場各市の市街地や伊豆半島の絶景、山梨県側は富士五湖などが一望できる。時には房総半島辺りまで見えることも。雲が出ても一面に雲海が広がる様子が幻想的だ。

 剣ケ峰に立つ石柱の前には多くの登山者が行列をつくり、記念撮影を楽しんでいた。東京都板橋区から須走ルートを登って訪れた木村博昭さん(47)は2度目の富士登山。昨年は体力的に厳しく途中で断念したため、入念に準備して再チャレンジした。「山頂到達は念願だったのでうれしいし、日本一の山に登るのはやはり達成感が違う。次は別のルートにも挑戦してみたい」と笑顔を見せた。

 お鉢巡りのルート上は見どころが多い。富士宮口の頂上には、富士山本宮浅間大社奥宮や富士山頂郵便局、山小屋の頂上富士館などがある。富士宮口から時計回りに進むと「馬の背」と呼ばれる急坂の先に剣ケ峰がそびえ、旧富士山測候所の建物が立つ。2004年まで有人で気象観測をしていたが、現在は高所を生かした科学研究の拠点になっている。

 荒々しい火口の風景や大沢崩れを横目にアップダウンを繰り返しながら北側を半周すると、本8合目で合流する吉田口と須走口共通の頂上に到着。山小屋に入って食事をとり、土産品を買い求める登山者でにぎやかだ。ここから御殿場口の頂上手前までは東方向が開けていて、御来光を拝むのに格好のポイントがあちこちにある。