東京都内で海の漁業経営体が最少更新 5年で2割超も減少 後継者不足で歯止めかからず

AI要約

東京都は、漁業センサスの結果を公表。都内の漁業経営体数が2割以上減少し、過去最少を更新。

個人経営体の減少や採貝・採藻の減少が特筆される。高齢化や環境変化などが要因。

都は水産業振興プランに取り組み、人材確保・育成を進めるも、漁業者の減少に歯止めがかからず。

東京都内で海の漁業経営体が最少更新 5年で2割超も減少 後継者不足で歯止めかからず

東京都は、海で行われる漁業(海面漁業)に関する都内の漁業就業者の規模などを示す「漁業センサス」の結果概要(令和5年速報値)を公表した。都内の漁業経営体数は、399で、前回調査(平成30年)に比べ2割以上減少し過去最少を更新した。現在の調査方法となった昭和38年の経営体数は2004で、今回の調査までに8割以上が減少したこととなる。

漁業センサスは、農林水産省が5年に1度全国で行う調査で、今回は5年11月1日現在。このうち都内の海面漁業に関する経営体(調査前1年間に30日以上漁業を行った世帯など)の調査は都の産業統計課が実施・公表している。

地域別では「島部」の経営体が322で前回比23・3%減、「区部」が77で同16・3%減。経営体の減少は全国的な傾向だが、島部は全国の減少率(17・0%)を上回る。

組織別では、個人や世帯で漁業を営む「個人経営体」が390で、残る9は企業や漁業協同組合など。今回の減少分はすべて個人経営体だった。高齢化や後継者不足を背景に個人経営体の減少が続く。

漁業種類別では、「採貝・採藻」の減少数が最も大きく、53減少し36に。近年では伊豆諸島などで海水温の上昇などにより海藻などが大幅に減少する「磯焼け」が発生しており、海藻を餌とする貝なども減っていることから、これを機に引退する漁業者も多いという。

都では、令和3年に改定した「水産業振興プラン」で、水産業の成長産業化に向け、年間10人の新規就業者を確保する目標などを掲げている。4年には漁業就業支援の窓口「東京漁業就業支援センター(東京フィッシャーズナビ)」を開設するなど人材確保・育成に向けた取り組みを進めているが、減少分を補うには至らなかった。

都水産課の担当者は、「後継者不足だけではなく、資源量の減少や温暖化に伴う環境変化など、さまざまな課題が生じている。既存の概念にとらわれず対策を考えていきたい」と話している。(大波加将太)