樹木葬、後継者不要で人気 墓との向き合い方に変化「親が子を思う時代に」

AI要約

永代供養型の墓が人気であり、管理を寺や霊園に任せる墓の選択が増加していることが明らかになった。樹木葬や納骨堂を含む永代供養型の墓が一般墓を上回り、今後の墓選びでもその傾向が続く見込みである。

墓選びの理由として後継者が不要や管理が楽などが挙げられており、墓参りのしやすさや費用の安さも重視されている。墓との向き合い方が変化し、墓石代わりに植物をシンボルにした樹木葬が増えている。

樹木葬の需要が高まる中、墓石販売大手は企画提案や受託販売など事業に力を入れており、寺院側にも樹木葬へのニーズがあることが示唆されている。地方でも樹木葬への需要が伸びており、今後も墓選びのトレンドになりそうだ。

樹木葬、後継者不要で人気 墓との向き合い方に変化「親が子を思う時代に」

直近5年以内の墓選びで、管理などを寺や霊園に任せる永代供養型の墓を選択した人の割合が5割近くに達したことが、仏壇・墓石販売大手「はせがわ」の調査で分かった。後継者が不要であることなどが人気で、一般墓を選んだ人の割合を上回った。墓石代わりに植物をシンボルにする樹木葬が増えているといい、今春に樹木葬の墓地を整備した川崎市の寺の住職は墓との向き合い方の変化を「子が親を思う時代から親が子を思う時代に入ってきた」と表現する。

■今後の墓選びでは88・3%が永代供養型

同社によると、調査は直近5年以内に墓の購入、遺骨を移す改葬を行ったり、これから購入したりする40~70代の600人を対象に今年7月に実施した。既に購入・改葬した人のうち、樹木葬や納骨堂を含む永代供養型を選択した人の割合は49・7%で、一般墓の49・0%をわずかに上回った。一方、今後の墓選びで永代供養型を予定・検討していると回答した人の割合は88・3%に達し、一般墓の44・7%を引き離した。

一般墓が代々継いでいくことが前提であるのに対して、樹木葬などの永代供養型は霊園や寺が遺族に代わって管理、供養する。同社が参考として示す購入価格は屋外の一般墓が140万円以上に対して樹木葬は55万~75万円となり、管理、費用面から樹木葬を選択する人が増えているとされる。

調査結果でも樹木葬を選んだり、検討したりしている理由として最多だったのは「後継者が不要」で73・4%。次いで「管理が楽」が58・7%となり、「供養スタイルが自分に合う」「費用が安い」「墓参りがしやすい」がそれぞれ33・0%だった。

■檀家離れで寺側にもニーズ

「昔は樹木葬という言葉さえなかったが、最近ではトレンドになっている」。はせがわの墓石事業に長年携わってきた榎本哲治常務取締役はこう説明する。

利用者だけでなく、寺院側にも檀家離れなどの中で安定的な寺院運営を行うために樹木葬へのニーズがあり、同社は寺院など向けに企画提案と、それらの受託販売の事業に力を入れる。榎本氏は今期(4月~来年3月)に10カ所で整備する計画であることを明かし、「首都圏だけでなく、地方でもニーズがある」と力を込める。

川崎市高津区の蓮花寺は同社の企画提案のもとで今年4月、樹木葬の墓地をオープンした。オリーブ、アジサイなどが植えられた敷地内で緩やかなカーブの通路を挟む形で1~4人用の約460区画が設けられている。永代供養料を納め、年間管理費は不要。複数人タイプの場合、最後の納骨から10年経過したら合祀墓に移される。