とにかく目下に「ご苦労さま」、メールでは「お世話になっております」じゃ思考停止?グッと好印象になる<使い分け>を伝授
前田めぐるさんが日本語の敬語について語る。例えば「お疲れさま」の使い方が増えており、時代の変化を感じさせる。
最近の傾向として、目上でも目下でも「お疲れさま」が主流であり、使い分けが曖昧になっていることが説明されている。
若者が多い職場では「お疲れさま」が主流である可能性があり、挨拶から感じる時代の変化について言及されている。
「頑張らせていただきます」「お名前様、いただけますか」「書類のほうをお送りします」…丁寧に言おうとして、おかしな日本語を使っていませんか?そんな中「盛りすぎないほうが誠実で潔い!」と断言するのが京都暮らしのコピーライター前田めぐるさんです。今回は、著書「その敬語、盛りすぎです!」より一部を抜粋して紹介します。
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◆目上でも目下でも「お疲れさま」が増えている
「また、その話?正直、もう飽きたよ。目上には「お疲れさま」、目下には「ご苦労さま」。これでいいんでしょ」
まあ、そう投げやりにならないでください。
もしかしたら、この続きは<「ご苦労さま」がもともと目上に使う言葉だった>という説よりも、耳寄りな情報かもしれません。
目上には「お疲れさま」、目下には「ご苦労さま」。
敬語の本やインターネットの記事でよく書かれている使い分けです。私も記事にしたことがあります。
しかし、最近の傾向を見ていると、そう単純に割り切れるものでもないようです。
「自分が会社員であるとして、同じ会社で同じ仕事を一緒にした人たちに対して、その仕事が終わったときに何という言葉をかけることが一番多いか」を尋ねた世論調査(平成27年度・文化庁)があります。
「お疲れ様(でした)」を、目上の人に対して使う人は全体の76・0%、目下の人に使う人は61・4%。
「ご苦労様(でした)」を目下の人に使う人は28・4%と3割以下です。「お疲れ様(でした)」がかなり優勢ではありませんか。(※用字は調査のまま)
◆挨拶から感じる時代の変化
調査からは、目上・目下に関係なく「お疲れさま(でした)」が多いことが分かります。もしコンビニやカフェでアルバイトをしている人が近くにいたら、同じ質問をしてみてください。
私が尋ねた若者は「ご苦労さまです」はほとんどバイト先で聞かれない、と教えてくれました。
若者が多い職場では「お疲れさま」が主流である可能性もあります。若者に迎合しようという意味ではありませんが、常に時代は変化していることの表れだと感じました。
ともあれ一日の疲れをねぎらう挨拶は、次の日への大切なバトン。
「お疲れさまです。今日はアドバイスありがとうございました。お先に失礼いたします」
「お疲れさま。こちらこそありがとう。気をつけて帰ってください」
どんな言葉ならリフレッシュするでしょうか。そう考えれば、流されず、杓子定規(しゃくしじょうぎ)ではない言葉がきっと出てくるはずですね。