「退院させていただきました」「円満退職させていただきました」はへりくだりすぎ!?ただし何でもかんでもNGというわけではなく…
タレントやアーティストが敬語を盛りすぎる理由について説明されています。
また、敬語を適切に使用するための例文が提案されています。
ファンに感謝を伝えつつ、過剰な敬意を避ける表現が紹介されています。
「頑張らせていただきます」「お名前様、いただけますか」「書類のほうをお送りします」…丁寧に言おうとして、おかしな日本語を使っていませんか?そんな中「盛りすぎないほうが誠実で潔い!」と断言するのが京都暮らしのコピーライター前田めぐるさんです。今回は、著書「その敬語、盛りすぎです!」より一部を抜粋して紹介します。
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◆「CDを出(だ)させていただきさせて、歌合戦にも出(だ)させていただきました」
「『させていただく』を使いすぎだと言いたいんでしょ。盛りすぎなのは自分たちでも分かっているよ。でもダメだと分かっていても使わないと落ち着かないんだ。
『CDを出せました』と言えばアンチから、自力で出せたような顔をするなって言われそうだし、第一応援してくれるファンに対しても失礼な気がするし。
それ以外で、丁寧に言う方法なんてあるの?」タレントやアーティストから直接聞いたわけではありませんが、才能ある賢明な彼らの中にはこう感じている人も多いのではないでしょうか。
誹謗中傷が飛び交う現代、ファンや周囲に気配りしすぎて、敬語を盛りすぎてしまうのも無理からぬことかもしれません。
とはいえ、視聴者にとって耳に付く言い方であるのも確か。
「今年はCDを出(だ)させていただき、歌合戦にも出(だ)させていただきました」いくらファンに感謝しているからといって、やはり過剰な敬語です。
また厳密に言えば「歌合戦にも出(だ)させて」は「歌合戦にも出(で)させて」が適切です。
◆感謝を伝えつつ盛りすぎ防止の表現
CDを買うほどのファンは、どんな言い方でも快く受け入れてくれるのかもしれません。ただ、ファンならなおさら、憧れているアーティストやタレントには、堂々とかっこよく振る舞っていてほしい気持ちもありはしないでしょうか。
そこで、「『させていただく』盛りすぎ防止対策」を施した表現を提案します。
「今年はファンの皆さんのおかげでCDを出すことができました。歌合戦にも出場の夢がかないました」
これならファンへの感謝も盛り込めます。
「出すことができた」「夢がかなった」というポジティブな言葉で、応援してよかったと喜んでもらうことができます。
ファン自身も夢を叶えようと思うかもしれません。
「おかげ(さま)で……しました(いたしました/できました)」を使うことで、感謝を述べつつも媚びない印象になります。
「させていただく」の二度使いで敬意を盛るよりも、かえって距離が縮まるのではないでしょうか。