日本一「たばこ税」を還元する街? 地価のお高い東京・港区で“コンビニ内”喫煙所が増えたワケ、条例制定10年の試行錯誤

AI要約

分煙の意識が広まり、受動喫煙の被害は減少しているが、路上喫煙や訪日観光客の喫煙マナーの問題も浮上している。

港区が「みなとタバコルール」を推進し、喫煙ルールに厳しいイメージを持つが、訪日外国人へのルール周知が課題となっている。

喫煙所のなくすか増やすかに対する意見が分かれており、ゾーニングした対応が求められている。

日本一「たばこ税」を還元する街? 地価のお高い東京・港区で“コンビニ内”喫煙所が増えたワケ、条例制定10年の試行錯誤

 分煙の意識が広まり、たばこを吸わない人が受動喫煙の被害を受けることも徐々に減ってきた。とはいえ、規制が強まったことで逆に路上喫煙が増えたり、訪日観光客の喫煙マナーが悪目立ちしたりといった問題も山積みだ。一方で、喫煙者からは「こんなにたばこ税を払っているのに迫害されるだけか…」といったボヤキの声も。10年以上にわたって「みなとタバコルール」を推進し、“喫煙者に厳しい”というイメージのある港区に、意外な施策を聞いた。

■喫煙所はなくす? 増やす? 訪日観光客への対策には課題も

 港区といえば、六本木・表参道・台場のような繁華街や、新橋・品川といったビジネス街、再開発が盛んな虎ノ門・浜松町エリア、訪日観光客の多い東京タワー周辺、閑静な住宅街の広がる白金・高輪…といった、多様な側面を持つ東京の自治体。同区では2014年に「みなとタバコルール」を条例として制定。積極的な啓蒙キャンペーンを行うほか、人通りの多い道では指導員がルール順守の協力を求めて巡回するなど、23区でも先駆けて“喫煙ルールに厳しい区”と認識されてきた。

 それから10年。ルールの周知徹底から路上喫煙する区民(在住者・在勤者)は、目に見えて減っている。一方で浮き彫りとなっているのが、年々増えるインバウンドへの対応だ。

 「チラシやHP、ホテルに置く観光冊子などでルールの周知に努めているのですが、なかなか行き渡らないのが現状です。国によってはたばこは外で吸うのが“常識”となっているためか、路上喫煙、ポイ捨てが後を断ちません。ただ、外国人の方も『喫煙できる場所がわかればそこで吸う』と回答しています。訪日外国人の多いエリアでは多言語表記の喫煙場所マップの配布を進めています」(港区環境リサイクル支援部 環境課長・佐藤雅紀氏)

 外国人だけでなく日本人でも喫煙所がないと我慢ができず、マナー違反を犯す人は出てくるもの。たとえば、企業が敷地内禁煙を打ち出したがために、喫煙する社員が近隣の公園などに溜まってしまう事例もある。そうしたことから、最近ではたばこを吸わない側からも「一概に喫煙所をなくすのは、逆に非喫煙者にも迷惑」「きちんとゾーニングしたほうがいい」という意見も増えた。