「先生、クスリを減らしたい」もし《減薬》の相談を医師に反対されたら、どうするか? ひとりでできる「クスリのやめ方」

AI要約

日本人の多くが抱えている、クスリの多剤服用(ポリファーマシー)の問題について考察。

生活習慣病のクスリに対するアプローチとして、数値基準への過度な執着を緩め、生活習慣の見直しを促す。

薬剤師からのアドバイスや医師への相談を通じて、適切なクスリの管理や減薬方法を模索することの重要性。

「先生、クスリを減らしたい」もし《減薬》の相談を医師に反対されたら、どうするか? ひとりでできる「クスリのやめ方」

日本人の多くが抱えている、クスリの多剤服用(ポリファーマシー)の問題。ほんとうに、こんなにたくさんのクスリが必要なのか。今こそ立ち止まって考えてみたい。

前編記事『《オマケで処方されたクスリ》があなたの身体を壊す…75歳以上の6割以上が「クスリ漬け」というヤバい現実』では、胃薬や痛み止めの減薬方法を見てきた。

やっかいなのが、生活習慣病のクスリだ。名前のとおり「生活習慣」が病気の根っこにあるから、「クスリを減らす」「止める」だけでなく、あわせて日ごろの暮らしぶりを顧みる必要もある。

松田医院和漢堂(熊本県)院長の松田史彦氏が語る。

「昨今、血圧や血糖値、コレステロールなどの数値基準はかなり厳しめに設定されています。しかし、歳を重ねるとこうした数値は高くなるのが当たり前ですから、まずは『少し高めでも問題ない』と考えるようにしましょう。

厳密に基準値以下にしようとするから、クスリ漬けになってしまう。そのうえで運動の習慣をつけたり、食生活を改善したりして、クスリを減らしてゆくわけです」

薬剤師の宇多川久美子氏は「生活習慣病のクスリでは、高脂血症薬が経験上いちばん減らしやすいクスリ」だと語る。

「高脂血症は自覚症状がないゆえに『サイレントキラー』などと呼ばれていますが、逆に言えば、痛みやだるさといった自覚症状がないからこそ『怖いから飲み続けなきゃ』という恐怖心が薄いので、運動や食事で改善しやすいのです。

また、近年ではコレステロールが高めの人のほうが長生きするというデータや、総コレステロール値が185未満の人はがんのリスクが上昇するといったデータも出ています。『数値が下がるほどいい』というわけではないことに注意が必要です」

降圧剤を常用していると、血圧が下がりすぎてふらつくこともある。いくつも降圧剤を飲んでいるなら、成分を1錠にまとめた配合剤へ切り替えれば、量を減らすことができる。さらに宇多川氏は、こんな提案もする。

「医師に相談したうえでの自己責任にはなりますが、それほどひどい高血圧でなければ、降圧剤を『少し減らしてみる』のがいいでしょう。1錠まるごと飲まないのではなく、1錠を半分に割ってみる。一定期間過ごして問題がなければ、4分の1にする……というふうに、ゆっくり試すのもひとつの方法です」

錠剤を2分の1や4分の1の大きさに割るための「ピルカッター」も市販されている。カプセルや糖衣錠には使えないが、多くの降圧剤はオーソドックスな「裸錠」なので問題ない。

飲んでいるクスリの種類や減らせそうなクスリかわかったら、第二のステップ「医者への相談」へ進もう。まずクスリの基礎知識を集めることが肝心なのは、医者を説得するときに、そうした知識が決め手となるからだ。

「自分が『なぜ、このクスリを飲んでいるのか』がわかれば、優先順位が高いものと低いものを整理することができます。そのうえで、『クスリ代が高くて困っている』『こんなにたくさん飲むのは大変なので、減らしたいと思うのですが』とはっきり伝えましょう」(薬剤師の中尾隆明氏)