《オマケで処方されたクスリ》があなたの身体を壊す…75歳以上の6割以上が「クスリ漬け」というヤバい現実

AI要約

多剤服用(ポリファーマシー)についての課題と、クスリを減らすための取り組みが紹介されている。

クスリの基礎知識の重要性と、具体的な確認方法が述べられている。

特に胃薬について注意が呼びかけられており、1種類に絞ることの重要性が強調されている。

《オマケで処方されたクスリ》があなたの身体を壊す…75歳以上の6割以上が「クスリ漬け」というヤバい現実

いま、自分の手元に何種類のクスリがあるか覚えているだろうか。そして、そのひとつひとつが何に効くクスリなのか、ちゃんと言えるだろうか。

東京都健康長寿医療センターの調査によると、降圧剤や抗血栓薬、糖尿病や骨粗鬆症のクスリなど、「毎日飲まなければならないクスリ」を処方されている75歳以上の人のうち、6割強が5種類以上、2割弱がなんと10種類以上も飲んでいた。いかに日本人が「クスリ漬け」になっているかわかるというものだ。

ほんとうに、こんなにたくさんのクスリが必要なのか。そんな疑問を抱いたことがあるなら、いまこそ立ち止まって考えてみるべきタイミングだ。「薬やめる科」という診療科で知られる、松田医院和漢堂(熊本県)の松田史彦院長が言う。

「たとえば高血圧のクスリを飲むと、便秘の副作用が起きることがあります。そこで、医者に『便秘ぎみなんですが』と伝えると、『じゃあ便秘薬を出しましょう』となってしまう。こうしたことが続いて、多くの人が多剤服用(ポリファーマシー)に陥っていくのです。

医者の多くは、一度出したクスリを止めるのは怖いと思っていますし、自分が処方したクスリが不調の原因になっていると認めたくない。ですから、患者さんの側が『クスリを減らしたい』『止めたい』という強い意思をもって、自分で調べ、行動することが大切です」

クスリを減らすための道のりには、「自分ひとりでできること」と「医者に相談したうえで進めること」の、ふたつのステップがある。すべての第一歩となるのが、「いま飲んでいるクスリの基礎知識」を、自分のなかでしっかりと固めることだ。

薬剤師の中尾隆明氏が、その具体的なやり方を解説する。

「自分が処方されているクスリのひとつひとつについて、『何を治療するために飲んでいるのか』『どんな疾患の予防につながるのか』『いつから飲んでいるのか』をすべて言えるようになるのが理想です。

手元にある『薬剤情報提供文書』(クスリについてくる説明書)だけでわからないなら、かかっている病院の医者や、よく行く薬局の薬剤師に『これは何のためのクスリですか?』と聞いてみてください。病院や薬局には履歴が残っていますから、初めて処方されたときの症状とあわせて教えてもらえるはずです」

よく処方されるクスリのなかには、とくに気をつけるべきものがある。代表格が胃薬だ。ほかのクスリで胃腸が荒れるのを防ぐために「オマケ」的に処方された場合は、落とし穴がある。

「いろんなクスリを出されるうちに、複数の胃薬を飲むようになった人が少なくありませんが、なるべく1種類に絞ったほうがいいでしょう。とくに、胃潰瘍など胃腸の病気の治療の場合は別として、心臓病や高血圧といったまったく別の病気の治療中に胃薬が出されているならば、止めるべきクスリの第一候補になり得ます」(前出・松田氏)