「原因不明の頭痛」が起きる、思いがけない理由とは…誰でも陥る可能性のある、身近な「感覚過敏」の世界

AI要約

感覚過敏が引き起こすさまざまな症状に苦しむ当事者のエピソードが紹介されている。

日差しや蛍光灯などの光に敏感であり、その影響で頭痛や目の痛みを感じるKさんの例が挙げられている。

晴れた日や屋外での活動が苦手な感覚過敏の当事者の苦しみがリアルに描かれている。

「原因不明の頭痛」が起きる、思いがけない理由とは…誰でも陥る可能性のある、身近な「感覚過敏」の世界

光、音、におい、肌触りなど、私たちを取り巻くさまざまな“刺激”が引き金となって起こる、「感覚過敏」――。いま、不登校の原因とひとつとしても注目され、多くの人々を苦しめている、その壮絶な実態が明らかになりつつあります。

【「服が痛い」「泣きながら靴下をはく」…多くの子どもを苦しめる「感覚過敏」の正体とその課題】に引き続き、本稿では、感覚過敏の当事者で、「感覚過敏研究所」所長を務める加藤路瑛さんの著書『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』(監修:児童精神科医・黒川駿哉、ワニブックス)の一部を抜粋・編集し、あらゆる体調不良の原因となりうる「感覚過敏」の実態に迫ります。

「ダメだ、まぶしい」……。出版社に勤めるKさんは、今日もだまって職場のロールカーテンを下ろす。5月を過ぎ、日差しが夏に変わった頃から、職場で原因不明の頭痛が起きるようになった。よく言われる気象病も疑ったが、逆に、頭痛は決まって天気の良い日に起こる。加えて、頭痛はデスクが窓際の位置へ“配置替え”されてから起こるようになったことに気づいた。本格的な夏を迎える頃には、頭痛のみならず、目の痛みも感じるようになっていた。

窓際に位置するKさんのデスクは、コピー機と細い通路を挟むものの、天気の良い日は直射日光を受けることになる。そんな日は、目の前の白いゲラ刷り(紙)やPCの画面に光が反射し、何が書いてあるか読めないこともあるという。これでは仕事にならない……。そのため、編集部全体が薄暗くなることを気にしながらも、窓のロールカーテンを黙って下ろすようになったという。

しかし、Kさんが苦手なのは太陽光ばかりではない。夜になると、今度は蛍光灯の灯りが気になる。これは今に始まったことではなく、幼少期から“苦手”なのだそうだ。もちろん、自宅に蛍光灯はない。「暖色の間接照明でないと、まぶしくて落ち着かないですし、(蛍光灯だと)やはり頭痛が起こりやすい」とKさんは話す。そして、こう続けた。

「晴れた日は気持ちいいですよね、なんてよく言いますが、はっきり言って雨や曇りの日のほうがうれしい。夏の晴れた日に屋外で子どもの行事などがあると、ただただ、地獄です。『天気がよくてよかった!』なんていう周囲の声に生返事をしつつ、サングラスに帽子、日傘と完全防備で挑むのですが、それでも外出先で頭痛薬を飲むことになるんですよね……」