更年期になるとなぜ太る?医師が解説する解消のカギは「セルフモニタリング」

AI要約

更年期になると代謝の低下やホルモンの変化によって体重が増える傾向があります。

基礎代謝の低下やエストロゲンの分泌量の低下、自律神経の乱れが更年期太りの原因となります。

更年期太りの原因には食事とエネルギーのバランス、ホルモンの影響、ストレス反応などが関わっています。

更年期になるとなぜ太る?医師が解説する解消のカギは「セルフモニタリング」

更年期に入り、体重の増加や体形の変化が起こる理由について、「更年期になると代謝の低下やホルモンの変化によって、体重が増える傾向にあります」と話すのは、医師の木村眞樹子さん。漢方医学にも詳しい木村さんに、更年期太りの原因と解消方法・漢方について教えてもらった。

更年期太りは、主に基礎代謝の低下とホルモンバランスの変化、自律神経の乱れによって起こります。

◆基礎代謝低下の原因

基礎代謝とは、生命を維持するために消費するエネルギーのことです。基礎代謝が高いほど日常生活で消費されるエネルギーは多くなりますが、加齢とともに低下していく傾向があります。

日本人女性の基礎代謝基準値(kcal/kg/日)は18~29歳で22.1ですが、30~49歳で21.7。50~69歳で20.7となっており、徐々に数値が低くなっていることがわかります(e-ヘルスネット(厚生労働省)「加齢とエネルギー代謝」)。

また、筋肉量の減少も基礎代謝が低下する原因のひとつです。体温を調整したり体を動かしたりするために筋肉が多くのエネルギーを消費しているので、筋肉が減るということは消費エネルギーの減少にもつながります。

「食べ過ぎた訳でもないのに太った」という人は、加齢で基礎代謝が低下して消費エネルギーが減少しているにもかかわらず、食事内容や摂取カロリーが若い頃と変わらず、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されている可能性があります。

◆エストロゲンの分泌量の低下

更年期になり、卵巣の機能が弱まって女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下すると、中性脂肪をためやすい体になります。

食事によって血液中の糖が増えると、インスリンが分泌されます。インスリンは、糖をエネルギー源として利用できるようにし、余った糖を中性脂肪として蓄積する働きをするホルモンの一種です。一方、女性ホルモンであるエストロゲンは、インスリンの働きをサポートするとともに、体に中性脂肪がたまりすぎないよう脂質を代謝する働きも担っています。

しかし、更年期になると卵巣の機能が弱まってエストロゲンの分泌量が低下し、糖代謝がスムーズに行われなくなるため、血糖値が下がりにくくなります。

血糖値が下がらない状態が続くと、インスリンが過剰に分泌され、血中の糖が中性脂肪に変換されやすくなります。その一方で、エストロゲンによる脂質代謝の働きは低下しているため中性脂肪がたまりやすくなるのです。

◆自律神経の乱れによる食生活の乱れ

エストロゲンは脳の視床下部が卵巣に指示を出し、分泌量を管理しています。しかし、更年期になると卵巣の働きが弱まりエストロゲンが分泌できなくなります。すると、司令に対してエストロゲンが分泌されないため、視床下部の働きが不安定になるのです。

視床下部は自律神経のコントロールも担っているため、視床下部が不安定になることで自律神経の乱れにつながり、ストレスへの耐性が低下します。イライラすると食に走るタイプの人の場合、暴飲暴食や食欲のムラ、甘いものが食べたくなるなどカロリー過多になりやすく、結果として体重増加につながります。