暑い屋外から冷えた室内へ…気温激変の「玄関前線」 自律神経の乱れに注意

AI要約

梅雨が明けた各地での暑さによる体調の変化について医師や気象専門家が警鐘を鳴らしている。

暑い日に室内外を行き来することで自律神経のバランスが乱れ、体調不良を引き起こす可能性がある。

自律神経の切り替えが追いつかなくなる状況では、深い呼吸などのリラクゼーション法が効果的である。

暑い屋外から冷えた室内へ…気温激変の「玄関前線」 自律神経の乱れに注意

関東甲信や近畿など各地で梅雨が明けた。うだる暑さの屋外から、冷房の効いた店に入って、体調がおかしくなることはないだろうか。これを気象用語の「前線」に例え、医師や気象の専門家が寒暖差による体調の変化などに注意を呼びかけている。

■心身への負担を懸念

「前線とは、暖気と寒気の境目、つまり気温差が大きい場所を指す気象用語。冷房の影響により家や店でも玄関を境にして室内外で気温が大きく変わるため、この室内外の境目を〝玄関前線〟と呼んでいます」

こう話すのは、日本気象協会の気象予報士、小越久美さんだ。小越さんは〝玄関前線〟が心身への負担となることを懸念する。例えば朝の通勤時。冷房の効いた家を出て、猛暑の中を駅まで歩き、電車に乗り、また冷房の風にあたる-。

「暑い日が続くと冷房にあたる時間も長くなるでしょう。〝玄関前線〟を行き来すると、不調を来す人が増えるのではないでしょうか」と小越さん。

なぜ不調になるのか。それは、内臓の働きや血流の調整をつかさどる自律神経(交感神経と副交感神経)の働きに、気温が大きく影響するためだ。

■切り替えが追いつかず

実際、気温が高くなると、2つの自律神経はどのように働くのか。

副交感神経は、心臓の拍動をゆっくりにして発熱を抑え、体温が上昇しないようにする。それでもさらに暑くなると、交感神経の働きが優位となり発汗を促し、汗の蒸散により体温を下げる。

一方、暑い外から冷房の効いた部屋に入ると、交感神経の働きで、血管が収縮し、体を温めようと心拍数が増える。しかし再び暑い外に出ると、副交感神経が優位となり心拍数を抑える。

このように、2つの自律神経はバランスを取りながら体調を保とうとするが、暑い日に〝玄関前線〟を挟んで部屋と屋外を行き来すると、自律神経の「切り替え」が追いつかなくなる。 小越さんとの共著がある順天堂大医学部の小林弘幸教授は、「急激な変化に対応しようとするうちに自律神経は疲弊する」と話す。

■深い呼吸を繰り返すと効果的