ギリシャヨーグルトと何が違うの?濃厚すぎる「グリークヨーグルト」がZ世代に今人気

AI要約

90年代に流行した「ティラミス」、数年前に話題になった「おにぎらず」、直近では社会現象にもなった「タピオカ」など、食のトレンドには常に時代の移り変わりが反映される。最新の「グリークヨーグルト」ブームもその一例であり、日本でも人気が急上昇している。

グリークヨーグルトの人気は韓国から飛び火した要素が大きい。日本の商品は脱脂粉乳を原料にした無脂肪タイプが多いのに対し、韓国の商品は牛乳を原料とし、水分をしっかり切っている濃厚なヨーグルトが特徴的である。

若者文化では、韓国の流行がSNSを通じて入ってくる影響力が大きく、韓国のブームが日本でも定着する傾向が見られる。メディアや情報伝達の手段の変化により、流行の拡散がより迅速に行われている。

ギリシャヨーグルトと何が違うの?濃厚すぎる「グリークヨーグルト」がZ世代に今人気

【あの食トレンドを深掘り!】90年代に流行した「ティラミス」、数年前に話題になった「おにぎらず」、直近では社会現象にもなった「タピオカ」など、日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。

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ここ1~2年、「グリークヨーグルト」と呼ばれる濃厚なヨーグルトの専門店が、各地に次々と登場し人気を集めている。日本農業新聞の5月14日配信記事「[トレンド情報局]“硬め”ヨーグルトがブーム 脱脂粉乳使わず高タンパク 牛乳消費増に期待」によれば、今年3月に六本木で開業した「レムズ グリークヨーグルト」では、生産が追いつかないほどの人気。市販品も人気が上昇しており、先陣を切って2011年に発売された森永乳業の「ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズのプレーンタイプは、今年4月の販売実績が前年同月比で2桁超えになり、2018年に発売された国分グループ本社の「クリエイト ギリシャヨーグルト」は、今年4月は前年同月の1.5倍売れている、と好調が伝えられる。

森永乳業の商品名から分かるように、今人気になっているグリークヨーグルトは、つい最近まで「ギリシャヨーグルト」と呼ばれていた。2010年代半ばには「水切りヨーグルト」と呼ばれ、手作りする人たちも多かった。作り方は簡単。市販の一般的なプレーンヨーグルトを、キッチンペーパーやさらし布などで包み、ザルに入れるなどして自然に水切りさせておくと、下に黄色い液体のホエー(乳清)が落ちて水分量が減り、濃厚なヨーグルトが出来上がる。硬さは調整でき、1~6時間ぐらいの間で好みの硬さになったら完成。もちろん、市販品や専門店のヨーグルトは、製法を工夫するなどして質を高めている。

呼び名が変わり流行が拡大しているのは、今回のブームが韓国から飛び火した要素が大きいからだ。韓国では、グリークヨーグルトの名前で呼ばれている。ヨーグルト好きのウェブコミュニティ『みんなのヨーグルトアカデミー』で、3月5日に配信された「最近よく聞く『グリークヨーグルト』ってなに? 東京で楽しめるおすすめの専門店2選」(一般社団法人ヨグネット代表 向井智香)によると、日本の商品は脱脂粉乳を原料にした無脂肪タイプが多いが、韓国商品は牛乳を原料にしたものが多い。日本製は水分が多めでクリーミー、しっとりしたタイプが多いが、韓国製はかなり時間をかけて水分をしっかり切っているので、スプーンですくうとネチネチするほどだという。

たくさんある韓国の専門店の中から2022年5月、東京・茗荷谷に初上陸したのが「milky greek(ミルキー・グリーク)」。抹茶味、ロータスビスケットを練り込んだものなどさまざまなフレーバー入りが楽しめる。5月には原宿に「Bowls #(ボウルズ)」が韓国から上陸。コロナ前の、韓国かき氷ブームを思い起こさせる展開になってきた。

最近、韓国から上陸するブームは多いが、それは若い世代にとってSNS経由で入ってくる韓国の流行が、ぜひ採り入れたい選択肢の一つとして定着しているからだろう。振り返れば20世紀後半は、地方の若者がテレビや雑誌などで入手できる東京の情報に飛びついていた。1990年のティラミスブームは、ニューヨークから東京に入り、『Hanako』が発信源となって全国に飛び火した。今は、コロナがあっという間に世界中でパンデミックに発展したことからもわかるように、国内外のネットワークが広範囲にわたる。既存のメディアより早く、SNS経由で流行も採り入れやすい。韓流ファンが多いこともあり、韓国で流行れば日本でも流行る、という若者文化が本当に多くなった。