“イヤホンつけっぱ”はコミュニケーション拒絶? ラーメン店主が「やめて」と訴え騒動に…

AI要約

電車通勤時にイヤホンをつける行為が問題視されている。店内でイヤホンをつけたまま食事する客にも同様の指摘がある。

若者はイヤホンを外すことでストレスを感じ、コミュニケーションを避ける傾向がある。大人が若者に対して理解を示す必要がある。

イヤホンによる耳への影響やマナー違反、都市生活におけるストレス軽減といった複雑な問題が表面化している。

“イヤホンつけっぱ”はコミュニケーション拒絶? ラーメン店主が「やめて」と訴え騒動に…

 こうも暑いと、満員電車通勤は過酷だ。

 不動産仲介業者「AlbaLink」が先月発表した調査によると、電車通勤のしんどさを紛らわせる工夫の1位は「音楽・ラジオを聴く」の約33%(複数回答)なのだが、〈店内でイヤホンつけるの止めて欲しい〉。先日、東京・早稲田の人気ラーメン店店主がSNSでそう訴えて、ネット上でカンカンガクガクの議論になっていた。

 理由ははっきりしていて、〈ラーメンの好みを伺っても聞こえてない、ラーメン出す時にお声がけしても聞こえてないから受け取ってくれない。イヤホンつけて動画見ながら食べてるから店の回転が悪くなる〉から。

 ネット上では店主に味方する声の方が多いのだが、中には〈日本は不寛容で生きづらい社会〉とか〈なんだか面倒臭い店だなとは思う〉なんて意見も少なからずある。

 そんなものかなと思っていた日刊ゲンダイ記者が、ある昼の1時すぎ、チェーンのそば店に入った時のこと。もう食べ終わっているにもかかわらず、待っている客に席を譲らず、居座っている若い男性が。見れば、イヤホンをしながら、スマホで動画に見入って……これか!

 記者は、しばらくしてそば店から出てきた若い男性に身分を明かしつつ声をかけてみたら、「お店にも悪いなとは思ってるんですけどね」と、こう明かしてくれた。

「お昼を食べてすぐ会社に戻りたくないし、かといって、食後にカフェなんて無駄なお金も使えないんで……イヤホンをつけてれば、今どきの若者みたいな感じでスルーしてもらえそうでしょ」

 店側にはいい迷惑だろうが、彼なりの言い分もあるようだ。

「イヤホン依存? 耳が蒸れてカビが生えるなんてネットニュースも読みますけど、つけるのが癖みたいになってて。彼女と一緒の時でも“つけっぱ”のことありますし」と彼は笑っていた。

■耳せん代わりにイヤホン

 明大講師の関修氏(心理学)は「店の独自ルールを守るというマナーに対する理解が足りない若者がいるのも確かですけど」と、こう続ける。

「外の世界を遮断し、コミュニケーションを拒絶なんて大げさなものでもないでしょう。マスクで顔を隠すと安心する若者と同じレベルの話じゃないですか。ただでさえ都市生活はストレスフル。耐性が低い若者は少しでもストレスを軽減するため、雑音を減らす耳せん代わりにイヤホンをつけているのでしょう」

 若者に遠慮しすぎて、「会話できないからイヤホン外してよ」と、諭せない大人たちにも問題があるような……。