スタンフォード大教授が薦める朝食が、ヘルシーなスムージーより「具だくさんの味噌汁」である理由

AI要約

朝の飲み物は温かいものを選ぶべきで、冷たい飲み物は眠気を誘いやすい。

入浴後の体温上昇が入眠を助けるが、朝の入浴は避け、短時間のぬるめのシャワーを推奨。

運動も体温を上昇させるが、激しい運動は覚醒後に眠気を誘うので注意が必要。

スタンフォード大教授が薦める朝食が、ヘルシーなスムージーより「具だくさんの味噌汁」である理由

睡眠不足から不眠症、夜ふかし、いびきまで、まさに現代病ともいえる睡眠のトラブル。スタンフォード大学医学部教授・西野精治さんが、そんな睡眠のお悩みを科学的エビデンスをもとに解決。『スタンフォードの眠れる教室』より、一部を抜粋・再編集して紹介します。

朝、すっきりしたいから冷水を飲む……。これは一見、良さそうですが、実験結果からは冷たい飲み物が眠気を誘い、温かい飲み物が覚醒のスイッチをオンにすることがわかっています。

起床時の水分補給に水を飲むのは構いませんが、キンキンに冷えた水であれば少量にとどめるべきです。

体の芯を温めて覚醒するために、朝の飲み物は温かいものを選びましょう。コーヒーを飲む人が多いと思いますが、いい目覚めにしたいなら、アイスコーヒーよりもホットコーヒーを。

ちなみにコーヒーや紅茶などについては、午前中でも昼間でも、ホットのほうが覚醒効果が期待できます。味噌汁などはかなり体を温めますし、発酵食品由来の効果も期待できます。

シャワーを浴びたり入浴したりすれば確実に体温は上がりますが、思い出してほしいのは、体温は上がれば下がるということ。トカゲやヘビのような変温動物でない限り、ホメオスタシスには逆らえません。

ぬるめのお湯での入浴では、副交感神経を刺激して交感神経を抑制する効果もあります。だからこそ眠気が出て入眠には役立ちますが、午前中の入浴では、いったん体温が上がった後の、体温下降期に覚醒スイッチはオフになってしまいます。

温泉旅館に連泊して、「とことんのんびりするぞ!」という場合を除いて、朝の入浴はやめておきましょう。体温変化をあまり起こさず、目覚めを良くするには、「ぬるめのシャワーを短時間」というのをお勧めします。

また、冷水で手や顔を洗うことも有効です。入眠のためには皮膚温を上げて深部との体温差を「小さく」し、覚醒のためには皮膚温を下げ体温差を「大きく」するのが大切。

早朝の起床前の時間帯から深部体温が上がってくるので、手や顔を冷水で冷やすことによって皮膚温を下げ、体温差をさらに「大きく」するという狙いです。冷たい水はリフレッシュにもなります。

運動も確実に体温を上昇させますが、これも入浴同様の性質があります。すなわち激しい運動をして体温を上げすぎると、一時的にはシャッキリ覚醒しますが、1時間半から2時間ほどで「元に戻そう」という働きで体温が下がり、眠くなってしまうのです。

朝ランニングをする習慣を持つ人は多いと思いますが、「良い目覚め」という観点からいうと、全力を出すのはやめておきましょう。汗をかかない程度が目安です。ただし、その習慣で問題がない人は無理にやめる必要はありません。

高齢者の場合はウォーキングにとどめておいたほうがいいでしょう。ヨガやストレッチのようなゆるやかな有酸素運動は、目覚めを良くする、ほど良い運動といえます。