昨年1年間でLGBTQ+の若者の4割が自死を考えた…米国で高まる懸念(シェリーめぐみ)

AI要約

昨年1年間でLGBT+の若者の4割が自死を考えたというデータが発表され、衝撃が走っています。

アメリカの多くの州で近年制定されている新たな法律が、自殺考えを抱える若者の増加につながっている。

専門家は、LGBTQ+の若者を保護するために社会全体が協力する必要があると指摘しています。

昨年1年間でLGBTQ+の若者の4割が自死を考えた…米国で高まる懸念(シェリーめぐみ)

【ニューヨークからお届けします】

 昨年1年間でLGBT+の若者の4割が自死を考えたというデータが発表され、衝撃が走っています。

 調査を行ったのは、アメリカ版命の電話を運営する非営利団体トレヴァー・プロジェクトで、13歳から24歳のLGBTQ+(レスビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クイア+)の1万8000人が対象となりました。

 あまりに高い数字の原因として団体が挙げているのが、アメリカの多くの州で近年制定されている新たな法律です。昨年2023年だけで500ものLGBTQ+の「人権を縮小する」法律が作られています。

 これらの法律は、トランスジェンダー(生まれた性別とは異なるジェンダーに属していると認識している人)の若者に対するホルモン治療の制限・禁止から、LGBTQ+に関する本を含む学校での教育の禁止、自認する性のトイレの使用禁止など多岐に渡っています。特に南部保守州で、LGBTQ+の権利が剥奪される傾向にあります。

 アメリカではZ世代(10代から20代前半)の若者の2割が、自分がLGBTQ+と自認しているだけに、影響は小さくありません。

 調査対象の9割が、こうした法律に心や体の健康が脅かされていると答え、中でもトランスジェンダーとノンバイナリー(性自認が男性にも女性にも当てはまらない人)の若者とその家族の45%が、こうした法律がない州への引っ越しを考えていると答えています。

 また法律の制定に伴い、彼らへの差別やハラスメント、いじめ、暴力なども増えています。性的嗜好や性自認を変えようとするコンバージョン治療を強制される場合もあり、精神的苦痛や心理的・肉体的ダメージを引き起こし、これらが自死を考える原因と考えられています。

 専門家は「彼らを追い詰めているのは、彼らがLGBTQ+であるという事実ではなく、それを否定すること。社会が協力して彼らを守っていかなければならない。」と指摘しています。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)