【賃貸住宅】礼金って意味不明?礼金がある理由や首都圏・近畿圏の礼金動向をチェック
敷金と礼金について、それぞれの役割や返還の有無、減額交渉の余地などを解説。
礼金の本来の意味や現状について述べ、交渉のポイントも紹介。
不動産会社を介した礼金の交渉についても考察。
国内で賃貸物件を借りる際には敷金と礼金が必要になるのが一般的ですが、敷金は借主が貸主に預けておく保証金のことをいい、あくまでも「担保」としての役割なので、退去時までに家賃の未払いや退去時の原状回復工事の必要がなければ全額借主に返金されます。
(経年劣化などの通常使用の範囲であれば、原状回復工事の対象外となります)
一方、礼金は賃貸物件に入居するにあたって貸主に対して支払う「お礼」なので、退去時には返還対象になりません。
また賃貸物件の中には敷金、礼金がどちらもかからない「ゼロゼロ物件」と呼ばれるものがありますが、借主にとっては契約時の初期費用がかからないメリットがあるものの、その分家賃や退去時の費用が割高になる場合があるので注意が必要です。
物価が高騰している近年では賃貸物件の賃料も上昇傾向にありますが、少しでもコストを抑えて家を借りたい方が増えているため、敷金と礼金は減額傾向になっているようです。
実際に事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLが2024年4月に公開したレポートによると、首都圏・近畿圏では敷金平均、礼金平均とも全賃料帯において減額傾向にあります。
しかし賃貸物件に入居予定の人の中には、「敷金は理解できるがそもそも礼金は本当に必要なものなのか?」と思う方も少なくないのではないでしょうか。
そこで本記事では、賃貸住宅の「礼金」について詳しく紹介したいと思います。
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礼金とは賃貸物件の借主が貸主に対して文字通りお礼の意味を込めて支払うお金のことをいい、契約時に1回だけ支払うもので、家賃の1~2か月分相当の額が相場となっています。
尚、金額は貸主や管理会社によって設定されます。
またUR(都市再生機構)の賃貸住宅や各住宅供給公社などの公的機関が貸主となる物件には礼金は不要となっています。
もともとは現在よりも賃貸物件が少なかった時代に家を貸してくれる貸主に対して、借主が感謝の気持ちを込めて支払っていたものなので、礼金は敷金とは違って一度支払うと返金されることはありません。
しかし以前と比較して世の中には賃貸物件の数が増えていて、昔のように大家さんと直接顔を合わせる機会もほとんどなくなっているので、本来の意味が薄れてしまって慣習だけが残っているというのが現状でしょう。
したがって礼金は法律上では支払い義務はありませんが、「礼金を支払ってでもこの物件を借りたい」という借主と貸主との合意によって支払われるのが礼金なので、減額交渉の余地は決してゼロではありません。
貸主にとっては礼金よりも毎月継続して入ってくる家賃の方が重要なことがほとんどなので、空室が多く入居率が低い物件の場合には、礼金の値引き交渉に応じてもらえることがあります。
礼金をとって無理に初期費用を高くしてしまうよりも、空室を埋めるために礼金を安くしてでも早く入居者を見つけたいというのが貸主の正直な気持ちでしょう。
ただし交渉は不動産会社の営業担当者を通して物件のオーナー(貸主)と行うようになります。