安易に痛み止めを飲んでいると、思わぬ「落とし穴」が…胃潰瘍、腎障害、高血圧を招くクスリ一覧

AI要約

痛み止めが高血圧を引き起こす可能性があることが指摘されている。

痛み止めの副作用として食欲不振や胃痛などが挙げられ、NSAIDsが原因であることもある。

複数の薬を併用している場合は注意が必要であり、副作用疑いがあれば医師や薬剤師に相談するべきである。

安易に痛み止めを飲んでいると、思わぬ「落とし穴」が…胃潰瘍、腎障害、高血圧を招くクスリ一覧

前編記事『【一覧】その症状はクスリが原因かも…体調不良を招く降圧剤、胃薬、痛み止めほか』より続く。

もう一つ、副作用として高血圧になってしまうクスリがある。痛み止めだ。長澤氏が続ける。

「近年、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs・ロキソニン、セレコックス、ボルタレン、ナイキサン)が血圧を上げることがわかってきました。NSAIDsは体内のプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで痛みを緩和しているのですが、その過程で血管を狭めてしまい、結果として血圧が上がってしまいます」

食欲不振や胃痛などに悩まされても、「暑さのせいで胃がまいってしまった」と自ら判断していないだろうか。だが、こうした症状も実はNSAIDsが原因となっていることがある。ナビタスクリニック川崎院長で、内科医の谷本哲也氏は、こう解説する。

「痛み止めを飲んでいると消化管障害や腎障害につながることがあります。胃腸の不調を訴えていた患者さんのおくすり手帳を見たら、NSAIDsが処方されていたというケースはよくある。NSAIDsはシクロゲナーゼという酵素を抑制することで痛みを抑えるのですが、胃の粘膜を守る力も落ちてしまいます。その結果、胃酸によって胃の粘膜が傷みやすくなり、胃潰瘍などにつながってしまうのです」

いくつものクスリを飲み合わせている人はとりわけ注意が必要だ。どのクスリが原因で症状が起きているのか、複雑で解明しにくい状況になっているからだ。前出の加藤氏は、複数のクスリによって思わぬ副作用が出る「ポリファーマシー」の問題に薬剤師などとともに取り組んでいる。

「特に5種類以上のクスリを飲んでいる人で、体の不調がある人は、その処方が適切なのか、減らせるクスリがないかを検討したほうがいいでしょう。実際、クスリを減らしたり、処方を変えたりすることで体の不調が改善するケースがあります。少しでも不安のある人は、迷わず医師や薬剤師に相談してみてください」

少しでも「変だな」と感じたら、クスリの副作用をまずは疑ってみよう。体調不良の原因は意外と簡単に解決できるかもしれない。

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「週刊現代」2024年7月13日号より