中国で反スパイ法改正、7月から個人のスマホやPCを捜査当局がチェックできるように。日本にとって最大の貿易国である中国で、懸念される日本人の渡航リスクとは?【親子で語る国際問題】

AI要約

中国に渡航する際のリスクと注意点について解説。

中国での監視強化やスパイ容疑での日本人拘束の問題。

改正反スパイ法によるスマートフォンやパソコンのチェック強化について。

中国で反スパイ法改正、7月から個人のスマホやPCを捜査当局がチェックできるように。日本にとって最大の貿易国である中国で、懸念される日本人の渡航リスクとは?【親子で語る国際問題】

いま知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は中国への渡航リスクについて学んでいきます。

中国は依然として日本にとって最大の貿易相手国であり、今後も日本経済にとって中国は重要なパートナーであることは変わらないでしょう。今後も安定した日中関係の維持と発展が望まれます。

しかし、日本人の中国渡航を考えれば、これまでより注意が必要な状況です。中国では7月1日から、個人のスマートフォンやパソコンを必要に応じて捜査当局がチェックできるようになります。中国の習政権は国内での監視の目を強めており、これもその一環でしょう。しかし、スマートフォンやパソコンには多くの個人情報が含まれており、そのチェックはすぐに個人のプライバシーの権利を侵害することになり、大きな問題です。今後、中国から帰国する直前、日本人が空港でスマートフォンやパソコンなどをチェックされ、帰国できなくなったというケースも出てくるかもしれません。

これまでも中国ではスパイ容疑で日本人が拘束されるケースが続いています。昨年3月には、北京で50代の日本人男性がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束されました。この男性は大手製薬会社アステラス製薬に勤務する男性で、中国での駐在歴が20年もあり、帰国する直前に逮捕されましたが、なぜ拘束されたか、何が法律に抵触したのかなど具体的な説明は一切ありません。

中国では2014年の反スパイ法、2015年の国家安全法、2017年の国家情報法などと監視強化を目的にする法律が次々に施行され、昨年の邦人拘束を含め反スパイ法に違反した容疑で拘束された日本人は17人に上っています。2021年1月には反スパイ法違反の容疑で逮捕された日本人男性2人の懲役刑が確定し、2019年9月には中国近代史を研究する大学教授が日本へ帰る直前に北京の空港で拘束されました。また、2022年10月にも反スパイ法違反で懲役6年の判決を受けて刑期を終えた男性が帰国しました。

■改正反スパイ法により、パソコンやスマートフォンのデータチェックも

また、昨年7月から監視の目をさらに強化する目的で、改正反スパイ法が施行されました。改正法ではこれまでのスパイ行為の定義が大幅に拡大され、国家機密の提供だけでなく、国家の安全と利益に関わる資料やデータ、文書や物品の提供や窃取もスパイ行為に含まれるようになり、今回のスマートフォンやパソコンのチェックを含め、今後の日本人の中国渡航では注意が必要です。