なぜ泥舟が浮かんでいる?屋根に木が生えている?「まるでジブリの世界」と世界中が驚いたユニークすぎる日本の建築に込められた思いとは…

AI要約

藤森照信さんの作品やキャリアについて紹介。

「神長官守矢史料館」の建物について詳細に解説。

自然と調和する建築スタイルの特徴や魅力について。

なぜ泥舟が浮かんでいる?屋根に木が生えている?「まるでジブリの世界」と世界中が驚いたユニークすぎる日本の建築に込められた思いとは…

一見するとジブリ映画に出てきそう? 今回は、どこにもないのになぜか懐かしい、そんな不思議な魅力をもつ、建築史家 藤森照信さんの作品をご紹介します。

古今東西の建築を知り尽くす歴史家が手掛ける建築とは?

1946年、長野県茅野市生まれ。東北大学工学部建築学科卒業後、東京大学大学院および同大生産技術研究所で村松貞次郎に師事し、建築史家の道に進みます。

1974年には仲間たちと「東京建築探偵団」を結成。都内を徘徊し、古い建物、変った建物を探しまわり、その成果をまとめた『建築探偵の冒険・東京篇』(筑摩書房)はサントリー学芸賞を受賞しました。

その後も、建築探偵、建築史研究の第一人者として様々なメディアで活躍。2024年現在、モダンリビング本誌でも「20世紀の名作住宅」を連載中です。

建築家としてのデビューは1991年。45歳のときでした。建築に自然を取り込むやり方、例えば、石や土、焼杉などの自然素材で躯体を覆ったり、ときには屋根や壁から“毛深く” 植物を生やしたり、そんな斬新なアプローチが話題を呼び、2001年には日本建築学会賞作品賞を受賞しました。

ジブリ映画の世界にも通づるような、どこか懐かしさを感じる作風から、幅広い層から支持を集めています。

舞台は、藤森さんの故郷である長野県茅野市。建築史家として活躍していた藤森さんが、45歳のときに手掛けた処女作がこの地に建っています。

こちらの「神長官守矢史料館」は、諏訪大社の筆頭神官である神長官を代々務めてきた守矢家が保存してきた歴史資料を保管・展示するための史料館です。

一見すると木造の建物に見えますが、実は鉄筋コンクリート造。「文化財を納めるためには鉄筋コンクリート造としなければならないが、鉄やコンクリートのモダンな表情は自然信仰の強い守矢家にはマッチしない」。

そんなジレンマのなかで、躯体を自然素材ですっぽりと包む発想が生まれたそう。

自然と調和し、民家ふうで懐かしい雰囲気を持ちながらも、無国籍なデザイン。藤森さんのスタイルはここからはじまりました。

所在地:長野県茅野市宮川389-1