厚労省が姑息なマイナ移行作戦 「資格確認証」には触れず保険証廃止ばかり強調する悪質

AI要約

政府は現行の保険証の廃止とマイナ保険証への切り替えを促すキャンペーンを展開しており、被保険者を不安にさせている。

厚労省の姿勢や広報方法には問題があり、現行の保険証とマイナ保険証の選択制を導入すべきだとの指摘もある。

マイナ保険証への移行に関する情報の不足や誤解を招く広報方法が問題視されている。

厚労省が姑息なマイナ移行作戦 「資格確認証」には触れず保険証廃止ばかり強調する悪質

 現行の保険証が廃止され、マイナ保険証に切り替わる12月2日まで半年を切った。政府は5~7月をマイナ保険証の「利用促進集中取組月間」に位置付け、被保険者の不安を煽るような悪質なキャンペーンまで展開している。

「(現行の)保険証があれば日本では医療機関にかかれるという『安心感のシンボル』のようなもの」──。武見厚労相は4日の会見で、現行の保険証をそう形容した。自ら「安心感のシンボル」をぶっ潰して「不信感のシンボル」であるマイナ保険証に移行させようと遮二無二になっているのだからタチが悪い。

 武見大臣は「アナログからデジタルに変わるのは『心のバリアー』みたいなものもある」とも発言。現行の保険証を残してほしいとの声を無視してマイナ保険証をゴリ押しする進め方が問題なのであって、自分たちの落ち度を「心のバリアー」にスリ替えるとは見苦しい。

 厚労省はマイナ保険証の利用者を増やした病院や薬局を対象に最大20万円の支援金をバラまく“禁じ手”を使い、果ては窓口で切り替えを呼びかける「台本」まで用意する徹底ぶり。なりふり構わぬ姿勢は、厚労省の公式Xにも表れている。

 厚労省は3日、〈マイナ保険証への移行まであと半年!〉と題し、〈12月2日から現行の健康保険証の新規発行は終了となり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行します〉とX上で注意喚起。〈ご注意ください!〉と書いてある、黒と黄色のストライプをあしらったチラシ(写真)も繰り返し投稿している。

■国民の不安を煽る

 何が問題か。マイナ保険証を持たない被保険者に、現行の保険証同様に使える「資格確認書」が交付されることが明記されていないのだ。知らない人が見たら、「12月に現行の保険証がなくなるなら、急いでマイナ保険証を申請しなきゃ!」と不安を煽られるに違いない。保険証廃止の撤回を訴える全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏は「マイナ保険証の利用促進が目的ならメリットを中心に広報するべきで、わざわざ保険証廃止を強調する必要はない」と指摘する。

 なぜ資格確認書の存在を分かりやすく書かないのか、厚労省に問い合わせると、「資格確認書について広報する必要がないと考えているわけではなく、改めて周知・広報を検討したい」(医療介護連携政策課)と回答した。

 シンプルに現行の保険証を残してマイナ保険証との選択制にすればいいだけの話である。