「プロダクトのデリバリーを加速する」--Snowflakeの新CEOが年次イベントに初登壇

AI要約

Snowflakeは2024年の年次イベントで、CEOのSridhar Ramaswamy氏がデータクエリー数や顧客数の成長など、同社の成長を振り返る。

Ramaswamy氏は、顧客の成功へのフォーカスや統合されたプラットフォーム構築への取り組みなど、Snowflakeの今後の戦略について語った。

SnowflakeはAI活用を進め、外部データ対応やマネージドサービスも提供し、組織全体がデータを活用できる環境を整えている。

「プロダクトのデリバリーを加速する」--Snowflakeの新CEOが年次イベントに初登壇

 Snowflakeは米国時間6月3~6日、米国・サンフランシスコで年次イベント「Snowflake Summit 2024」を開催している。初日の基調講演には、2月に最高経営責任者(CEO)に就任したSridhar Ramaswamy氏が登壇し、顧客やパートナーを前に同社の今後の方針について語った。

1日のクエリー数はGoogleと並ぶ規模に

 Snowflakeがデータクラウドの提供を開始したのは、今からちょうど10年前の2014年(創業はその2年前の2012年)になる。共同創業者のBenoit Dageville氏(プレジデント)とThierry Cruanes氏(最高技術責任者〈CTO〉)は、当初から経営者を外部から招いていた。現在のCEOがRamaswamy氏で、2019年の新規株式公開(IPO)など同社を成長軌道に乗せたFrank Slootman氏に代わり、2024年2月に就任した。

 Ramaswamy氏は、Googleなどを経て次世代検索技術のNeevaを共同創業した人物で、Snowflakeが2023年に同社を買収したことで加わった。AI担当のシニアバイスプレジデントからの昇格となり、AIを中核に据えるというSnowflakeの戦略を対外的にも示した格好となる。同社は今回のイベントに合わせ、従来の「データへのアクセスを容易にする」というメッセージを、「全ての人がAIにアクセスできるように」に変えている。

 Ramaswamy氏はまず、Snowflakeの現在について幾つかの数字を挙げながら説明した。

 同社は約1万社のグローバル顧客を持ち、顧客が実行するデータクエリーの数は日次で「50億以上」に及ぶという。「これは世界の人々が行っているGoogle検索とほぼ同等だ」とRamaswamy氏は語る。「大手顧客はSnowflake上で大規模なワークロードを動かしている。最大の顧客テーブルは200兆行に達する」という。

 また同氏は、2021年に発表したPython開発者向けのフレームワークである「Snowpark」は、顧客の50%が使うに至っていると胸を張る。

 「SnowflakeのAIデータクラウドはこの10年間で爆発的に成長した」(Ramaswamy氏)

「変わるもの」と「変わらないもの」

 Snowflakeはデータクラウドを代表する企業として市場をけん引してきた。Ramaswamy氏は今後、どのような戦略を描くのか。同社のかじ取りを任されて初めてのイベント登壇となった同氏は、顧客やパートナーを前に「変わるもの」と「変わらないもの」を説明した。

 まず、「変わらないもの」として挙げたのは「顧客の成功へのフォーカス」だ。

 Ramaswamy氏は「7000人規模になるSnowflakeの全従業員が、顧客に成功にこだわり続ける。われわれは顧客を第一に考え、そのためになると信じる製品を通じて支援する」といい、Net Promoter Score(NPS)の改善を続けており、顧客の成功をベースに自社の成功を測定すると述べた。

 2つ目として挙げたのは、「統合された単一プラットフォーム構築へのコミットとハードワーク」だ。

 「それぞれの業務に向けてバラバラにサービスやツールを提供するのは簡単だ。だが、そうすると“統合”という大変な作業を顧客に任せることになる。われわれはそのやり方が良いとは考えていない」とRamaswamy氏は述べ、複雑で高機能なものをシンプルで洗練された統合プラットフォームにまとめていくための作業を継続すると強調した。そこには、コスト効率も含まれる。

 外部データも対象となる。Snowflakeは数年前から、オープンなテーブルフォーマットの「Apache Iceberg」など外部にあるデータレイクの対応に取り組んでいる。2024年のSnowflake Summitでは、「Iceberg Tables」の一般提供(GA)が発表されている。Ramaswamy氏はその狙いについて「内部・外部に関係なくデータのサイロを結びつけ、エコシステムにおけるデータの発見、アクセス、コラボレーションを実現する」と説明した。

 データ基盤に加えて、生成AIのためのマネージドサービス「Cortex AI」を通じて、企業のAI活用を支援する。データ基盤やAIアプリの構築・展開のための機能もSnowpark Container Services」「Snowflake Native App」「Streamlit」などにより完備した。「Snowflake Marketplace」には約160のアプリが並んでいるという。

 「セールス、ファイナンス、マーケティングなど組織のあらゆる人が、アプリを使ってデータを活用することができる」(Ramaswamy氏)