「契約書は死後作成の疑い」 男性自宅転売の不動産会社に賠償命令

AI要約

大阪市浪速区の不動産会社が重い脳障害の男性の自宅を不当に転売し、遺族が2150万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は被告らに全額の賠償を命じた。

遺族は、男性が交通事故で亡くなり、代表が不当に土地と建物を転売したことを訴えた。代表は契約書に悪意があることが指摘され、違法行為が認定された。

判決後、遺族は納得のいく判決で弟の無念を晴らせたとコメント。代理人は悪質な行為であるとし、今後は刑事告発も検討する意向を示した。

「契約書は死後作成の疑い」 男性自宅転売の不動産会社に賠償命令

 重い脳障害がある男性の自宅を不当に転売したとして、遺族が大阪市浪速区の不動産会社「フューチャーライフ」と同社代表に2150万円の賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(葛西功洋裁判官)は30日、被告らに全額の賠償を命じた。

 判決によると、交通事故で高次脳機能障害などがあった柳発秀さん(当時51)=大阪市東成区=は2022年6月29日に病死した。代表の男性は翌30日、柳さんの土地と建物を買い取ったとして所有権を移転する登記を申請。後日、別の会社に2150万円で転売した。

 判決は、代表が移転登記の際に提出した売買契約書に柳さんの署名がなく、契約書の写しや実印が見つかっていないと指摘。契約書の作成日付は柳さんが亡くなる前日の28日になっていたが、実際は「死後に作られた疑いが強い」として、代表が「柳さんの意思に基づかずに契約を結んで転売し、遺族の所有権を違法に侵害した」と認めた。

 判決後に大阪市内で会見した柳さんの兄、南秀さん(57)は「弟の無念を晴らすために裁判を続けてきた。納得する判決をもらった」。代理人の松田直弘弁護士は「柳さんの認知能力が低下していたことを利用した悪質な行為だと認定された」と話し、今後、刑事告発も検討するとした。(山本逸生)