さらば「駅なか温泉」 経営悪化で営業終了へ 岐阜・子宝の湯

AI要約

岐阜県郡上市にある「子宝の湯」が経営悪化のため営業終了。駅の中にある温泉として人気だったが、新型コロナ禍や経営難により客足が遠のき、営業続行不可能と判断。

2002年にオープンし、長良川鉄道「みなみ子宝温泉駅」と直結。リーズナブルな料金で人気を集めたが、コロナ禍で来場者が激減し、昨年も7万人程度にとどまった。

施設を所有する郡上市は今後の活用について未定。終了に向けて9月は土日月のみの営業となる。利用者からは惜しむ声が続出している。

さらば「駅なか温泉」 経営悪化で営業終了へ 岐阜・子宝の湯

 全国でも珍しい「駅の中にある温泉」として知られる岐阜県郡上市の「日本まん真ん中温泉 子宝の湯」が経営悪化のため、29日で営業を終了する。長良川鉄道の駅ホームと直結し、気軽に立ち寄れるとあって鉄道ファンらの人気を集めたが、新型コロナ禍で遠のいた客足はその後も戻らず、原油高や電気代の高騰で経営難に追い込まれた。

 子宝の湯は2002年、長良川鉄道「みなみ子宝温泉駅」の開設とともにオープン。鉄道を降りてすぐの改札口が温泉の入り口で、露天風呂や釜風呂などバリエーションに富んだ温泉を楽しむことができる。近くに子授けと安産の守り神「勝原子安神社」があることから「子宝の湯」と命名された。

 長良川鉄道を利用すると大人300円(通常700円)で入場できるため、県内外から鉄道ファンらが多く訪れ、16年には来場200万人を突破した。来場者は年間約13万人に上ったが、コロナ禍で激減。その後も客足は戻らず、昨年も約7万人程度にとどまった。今後も回復が見込めないと判断し、営業終了を決めたという。

 施設の指定管理会社の担当者は「名古屋や東京方面から来てくれるお客さんもおり、感謝している。本当に残念」と話す。

 今後の施設の活用について、施設を所有する郡上市は「まだ何も決まっていない」としている。直結する鉄道駅は当面残るという。

 終了に向けた準備のため、9月の営業は土、日、月曜日のみとなる。岐阜市に帰省中だった千葉県船橋市の会社員、後藤健二さん(36)は「高校時代からよく利用したが、ふらっと立ち寄ることができる、電車好きにはたまらない温泉でした」と惜しんだ。【稲垣洋介】