明知鉄道の「きのこ列車」今年も出発進行! 乗客増へ…続く試行錯誤

AI要約

明知鉄道の取り組みや厳しい経営環境について紹介されている。

グルメ列車「きのこ列車」の運行や他のグルメ列車の紹介も行われている。

明知鉄道がさまざまな取り組みで収支改善を図っていることが述べられている。

明知鉄道の「きのこ列車」今年も出発進行! 乗客増へ…続く試行錯誤

 車窓に流れる田園風景と共に秋の味覚を楽しむ明知鉄道(岐阜県恵那市)の食堂車「きのこ列車」の運行が3日から始まった。ローカル線の新たな集客策として地元の名産品を提供する「グルメ列車」を始めたのは37年前。人気は定着してきたが、鉄道利用客自体の減少傾向に歯止めはかからず、あの手この手の模索が続いている。

 きのこ列車は、恵那駅から明智駅までの片道約1時間の区間(25.1キロ)で、マツタケ入りの土瓶蒸しなど、きのこづくしの料理を楽しむ。3日から11月30日まで、月曜日(祝日は運行)を除き1日1便運行し、料金は往復の運賃を含めて大人6千円(小学生以下3800円)。先月末に試食会が行われ、観光関係者らが地元食材をふんだんに使った料理を楽しんだ。

 明知鉄道は1985年に国鉄明知線を引き継いで第三セクター方式で開業。その2年後に地元名産の寒天を使った料理を提供する「寒天列車」が始まった。今では全国各地のローカル線で実施されているグルメ列車の先駆け的な存在だ。

 その後も様々な企画が立ち上がり、現在、冬の「じねんじょ列車」、4~5月限定の「おばあちゃんのお弁当列車」、夏には「冷酒列車」など6種類のグルメ列車を運行している。

 取り組みの背景には厳しい経営環境がある。

 明知鉄道広報の伊藤温子さんは「人口が減っていくなかでローカル線としては、通勤通学客以外の集客にも取り組んでいかないといけない」と話す。

 明知鉄道の利用客はピーク時の86年度には約89万人いたが、昨年度は約30万人と約3分の1に落ち込んでいる。収益の柱である通学定期の利用客の落ち込みはさらに厳しく、53万人から14万人と約4分の1になっている。昨年度の経常赤字は約1億円となり、自治体からの補助金などの特別利益を計上し、やりくりしている。

 少しでも収支を改善しようと明知鉄道では、グルメ列車の他にも蒸気機関車(SL)や気動車の運転体験、鉄道ファン向けの特別切符や全国のローカル線とタッグを組んだ「鉄カード」の販売など、あの手この手の取り組みを進めている。