「水口かんぴょう」歴史400年 浮世絵の風景、連綿と

AI要約

滋賀県甲賀市水口町での「水口かんぴょう」の収穫と加工の最盛期が訪れている。

生産者はGI保護制度に登録された初のシーズンを迎え、張り切っている。

伝統的な製法や地域の歴史を受け継ぎながら、かんぴょう生産に取り組んでいる。

生産者は天日干しや乾燥具合にこだわり、柔らかいかんぴょうを作るために工夫している。

地域ではかんぴょうが祭りや祝い事の席で重要な食材として親しまれている。

14人の農家がユウガオを栽培し、在来種から選抜したものだけを原料に使用している。

今後はかんぴょうを活かした料理を増やして地域の魅力を広めたいという意欲が高い。

「水口かんぴょう」歴史400年 浮世絵の風景、連綿と

 滋賀県甲賀市水口町の「水口(みなくち)かんぴょう」が、原料となるユウガオの収穫と加工の最盛期を迎えている。国の地理的表示(GI)保護制度に登録されて初めてのシーズン到来に、生産者は、その魅力を引き出そうと、張り切っている。

 「良いかんぴょうを作るには、強い日差しと、程よい風が大切」と話すのは、ユウガオを3アール栽培する生産者で、古民家カフェ「一里塚」を経営する長隆義さん(68)。

 長さんは、2日に1度、朝早くから、重さ10キロほどの実を6、7玉選んで収穫。専用の機械で、幅3センチ、厚さ3ミリ、長さ3メートルほどの帯状に仕上げる。

 これを切れないよう丁寧にさおにかけ、天日干しする。水口かんぴょうの特徴である柔らかさを引き出すためには、20%以下の水分量に仕上げることがポイントだ。干す目安は、晴れた日で1日半から2日。手の感触で乾き具合が分かるという。

 同地域はかんぴょう発祥の地ともいわれ、400年に及ぶ生産の歴史を持ち、江戸時代の浮世絵師、歌川広重の「東海道五十三次」にも干す様子が描かれている。祭りや祝い事の席には欠かせない食材として、地域に根付いている。

 現在は、水口かんぴょう部会の農家14人が60アールでユウガオを栽培。在来種から選抜し、自家採種したユウガオだけを原料に使う。昔ながらの天日干しが今も受け継がれ、8月下旬まで収穫と加工作業に追われる。今年の生産量は、140キロを見込む。

 長さんは、自身の古民家カフェで提供する洋食のランチメニューにも、かんぴょう巻きを添える。「名物は何かと聞かれたら、胸を張ってかんぴょうと答えたい」とし、今後はかんぴょうを使ったメニューを増やして、魅力をアピールしていきたいと考えている。

(福本卓郎)