支え合い(8月11日)

AI要約

阿武隈高地の山あいに位置する浪江町津島地区。かつて、住民は農業や林業にいそしんだ。まちなかの便利さとは程遠くとも、心は豊か。

原発事故の避難指示が一部で解除されて1年余り。<2024・8・11>

津島の「かぼちゃまんじゅう」の復活や移住者の受け入れについて。

 阿武隈高地の山あいに位置する浪江町津島地区。かつて、住民は農業や林業にいそしんだ。まちなかの便利さとは程遠くとも、心は豊か。互いを支え、励まし合って日々の営みを守り続けた▼原発事故の避難指示が一部で解除されて1年余り。10世帯ほどが暮らしている。避難先から戻った人、新たに移り住んだ人…。「共生の心」が変わらず地域に息づく。暮らしを彩ろうと花を植え、にぎわいを生もうと集う。初の「つしま夏まつり」を17日に開く。盆踊りの輪や出店に、きっと笑顔が咲く▼津島の「かぼちゃまんじゅう」をご存じだろうか。住民が協力して作り、販路を広げてきた。災厄によって途絶えたが、地元出身の女性が避難先の福島市で復活させた。優しい香りと甘味は評判を呼び、県内外から注文が寄せられる。古里名物は不朽だ▼県外からの移住者が「受け継ぎたい」と申し出た。女性は技術を教え、売り方も伝授する。「二人でも、始めてみれば輪は広がるはず」。みんなで力を合わせ、全国から人を呼ぶ銘菓に育てる未来を描く。まつりの出店にも並ぶというから、ぜひ一口。素朴な味が心に染み入る。酸いも甘いもかみ分けた真心に満ちている。<2024・8・11>