19歳飲酒・喫煙で五輪辞退は妥当なのか…一大スポーツイベントを支配するスポンサー“無言の圧”の重み

AI要約

パリ五輪代表から喫煙・飲酒行為で辞退した宮田選手に対する賛否の声が分かれている。

辞退妥当派と擁護派の意見が対立しており、五輪とスポンサーの関係も考慮する必要がある。

オリンピック参加者はスポンサーとの関係に制約があるため、選手の行動は影響を及ぼす。

個人スポンサーに対する制約が緩和されているが、商業利用に関するルールは厳格であり、スポンサーの利益を損なう行為は重要視されている。

オリンピックの運営はスポンサーに依存しており、不適切な行動は各国のオリンピック委員会にとって大きな問題となる。

IOCはスポンサー企業の利益を守るために厳しい取り締まりを行っており、不正な商業利用に対して法的措置を講じる姿勢を示している。

19歳飲酒・喫煙で五輪辞退は妥当なのか…一大スポーツイベントを支配するスポンサー“無言の圧”の重み

体操女子・パリ五輪代表の宮田笙子選手(19)が喫煙・飲酒行為発覚のため、代表を辞退した。この決定以降、SNSなどネット上では「厳しすぎる」「規律を破ったのだから仕方ない」など賛否の声があがっている。

「法律を守らなければどうなるか身をもって知る必要がある」「厳しすぎるといってもルールやマナーがある」「してはいけないことをしたのだから一発アウト」

宮田選手の辞退について肯定的意見の大半は、「ルールを破ったのだから仕方ない」というもの。一方、否定的意見は、「問題だが辞退するほどではない」「成人を18歳に引き下げた時点で見直すべきだった」「たかがタバコでなにを騒ぐ」とやや感情論的な擁護コメントが多くを占めた。

声の多くは「ルールは守るべき」という辞退妥当派だったが、「これくらいで若者の夢を壊すな」という擁護派の熱い声も目についた。選ばれし者だけが参加できる4年一度の一大スポーツイベント。それだけに、どちらの意見にもそれなりにうなずける部分はある。

そのうえで、これら議論とは別の判断基準がないのかを探る意味で、少し俯瞰(ふかん)して五輪とスポンサーの関係を改めて整理してみる。

パリ2024オリンピック競技大会参加者は、大会期間中の自身の容姿、名前、映像(肖像)や大会でのパフォーマンスに関する商業利用について、オリンピック憲章規則40条付属細則3に規定される国際オリンピック委員会(IOC)理事会が定める原則を遵守する必要がある。

これが何を意味するのか。プロとして活動しているアスリートでも、五輪期間中は自身の個人スポンサーに対し、不自由が生じる可能性があるということだ。とくに前回の東京2020大会以前は、ルールがより厳格だったため、個人スポンサーが受ける恩恵はかなり限定的だった。

さすがにそれでは厳しすぎるとして、前回の東京2020大会から個人スポンサーでも「自身の身体、名前、写真、あるいは競技パフォーマンスが宣伝の目的で大会期間中に使用されることを許可することができる」とその内容が一部変更され、実質的に規制緩和となった。

”商業五輪”といわれて久しいが、もはや莫大(ばくだい)な運営コストのかかるオリンピック開催は、スポンサー抜きには成立しない。逆にいえば、少しでもスポンサーを汚すような行為があれば、各国のオリンピック委員会にとって一大事ということだ。なかでも”上客”となるのが、オリンピックパートナーといわれる、スポンサー企業だ。

多額の協賛金を支払っているオリンピックパートナーには、当然それだけの見返りがある。たとえば、選手の肖像権の場合、オリンピックパートナーには基本NGはないが、選手の個人スポンサー等には一部制約があり、お祝い広告や結果報告等はNGとなっている。

オリンピックパートナーでも個人スポンサーでもない企業となると、たとえ選手とそれまでの関係性があった企業でも、五輪期間中は選手の肖像を商業目的で使用できない。五輪がスポンサーの支援で成り立っている以上、そうでない企業をただ乗りさせるのは不誠実となるからだ。

IOCはその防止のため、「専門的な業者に依頼し、定期的に商標の出願状況や企業の広告宣伝 · 販売促進状況をモニターすると共に、万一発生した場合には、法的な対応をする等、厳しく取り締まっています」とし、スポンサーの不利益阻止に最大限の配慮をしている。