体操・宮田選手の五輪辞退に「当然だ!」の声があふれる気持ち悪さ

AI要約

日本体操協会の宮田選手に対する厳しい処分について、石原壮一郎氏が考察。宮田選手の喫煙と飲酒が五輪代表の切符を奪われるほどの重罪だったのかについて疑問を投げかける声が上がっている。

多くの著名人や専門家からは処分に疑問の声が上がり、飲酒や喫煙の行動が代表権を奪うほどのものなのか疑問が残る。一方でネット上では法律や規則を破ったから当然の処分だという声が多数を占めている。

異論反論がある中、処分を巡って意見が分かれており、その正当性や公平性について議論が続いている状況が示されている。

体操・宮田選手の五輪辞退に「当然だ!」の声があふれる気持ち悪さ

 誰もが簡単に発信できる時代、には負の側面もある。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

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 日本体操協会の偉い人は、きっと体操経験者が多いんですよね。みなさんバランス感覚が秀でてらっしゃるのかと思ったら、そうでもないようです。パリ五輪の体操女子で代表に決まっていた宮田笙子選手が、喫煙と飲酒を理由に“辞退”に追い込まれました。

 19歳の飲酒や喫煙が、やっとつかんだ五輪行きの切符を取り上げるにほどの重罪だったかどうかは、いろんな考え方があるでしょう。「厳重注意」という選択肢もあったかもしれません。しかし日本体操協会は、わりとあっさり「五輪に出場させない」と判断しました。

 あくまで「本人が辞退した」という形にしたところや、知る限り協会の幹部や役員は誰も処分されていないあたりは、持ち前のバランス感覚の成せる業とお見受けいたします。きっと協会の偉い人たちは、20歳になるまで飲酒も喫煙もしなかった清廉潔白な人たちばかりなんでしょう。そして、宮田選手を迷いなく非難している匿名の人たちも。

 この処分に対しては、スポーツ関係者やタレントや政治家など、多くの著名人から疑問の声が上がりました。陸上で3大会連続で五輪に出場した為末大氏は、Xに「問題だったとは思いますが、代表権を奪うほどではないと思います。どうか冷静な判断をお願いします」と投稿。タレントの高知東生氏も、Xに「19歳の飲酒喫煙で、大人達がこんな一斉攻撃するのやめようぜ。(中略)人一倍頑張ってきた若者の少しばかりの失敗を、大袈裟に騒ぐことが正義なのか?」と強く異を唱えました。

 異論反論があるのは前提として、こういう意見が出てくるのは至極もっともです。ただ、「やりすぎだ」という声をはるかにしのぐ勢いで、ネット上は「法律や規則を破ったんだから辞退は当然だ!」という「正しいことを言う人」の声で埋め尽くされました。自分の「正しさ」をより補強したいのか、「ほかにもこんなことがあったらしい」と根拠のない推測をくっつけて、「だから当然だ!」と言っている人も多くお見受けしました。