塾や予備校にいる「カリスマ講師」と「不人気講師」の決定的な差、9浪した男の結論とは?

AI要約

筆者は9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持ち、浪人を通じて学んだ塾・予備校の選び方について解説する。

受験生時代に人気のある「カリスマ講師」とそうでない講師の違いについて探求し、その共通点に迫る。

「カリスマ講師」は単に授業内容だけでなく、人間的な魅力や伝達能力によって生徒の興味を引き付けることが重要である。

塾や予備校にいる「カリスマ講師」と「不人気講師」の決定的な差、9浪した男の結論とは?

 計9年間の浪人を経て早稲田大学に合格した経験を持つ筆者・濱井正吾(通称:9浪はまい)が、良くも悪くも浪人を重ねたからこそ分かる「塾・予備校の選び方」をお届けします。筆者は受験生時代に、多くの人々を惹きつける「カリスマ講師」に教わったことがあります。彼らは他の「不人気講師」とは何が違ったのでしょうか。独自の見立てをお伝えしていきます。(教育ジャーナリスト 濱井正吾)

● 9年間浪人して分かった 「カリスマ講師」と「不人気講師」の差とは?

 私はかつて、家族の事情などで集中して勉強するのが難しい環境にいました。そこから仮面浪人を経験したり、社会人生活と並行して受験勉強を重ねたりする中で、難関大学合格への熱意が高まりました。そして9浪を経て、念願叶って早稲田大学に合格しました。

 長かった受験生時代、私はたくさんの塾・予備校に通い、大勢の先生の授業を受けました。その中には、生徒から人気のある先生もいれば、そうではない先生もいました。

 ですが、今思い返すと、先生方の教える内容自体に大きな違いがあったわけではありません。人気に差が付く要因は、授業内容「以外」のところにあったように思います。

 そこで今回は、生徒から人気のある「カリスマ講師」の意外な共通点について解説します。

 人気やカリスマ性の定義については議論が分かれるところかと思いますので、今回は「多くの受講生を抱えている講師」「受講生を深い学びの世界に引き込める講師」とします。

【次ページ以降】

・「カリスマ講師」が持っている「理屈ではない何か」とは?

・「カリスマ講師」=「生徒にたくさん話し掛ける講師」ではない

・授業中の「発声方法」も意外と重要

・東大、難関大合格者が慕うカリスマ講師の教え

● 「カリスマ講師」が持っている 「理屈ではない何か」とは?

 私が人生で初めて出会ったカリスマ講師は、英語の先生でした。

 その先生の授業はいつも超満員。時事ネタを絡めながら、英語の長文問題をおもしろく解説してくださる方で、生徒の興味を惹きつけて離さない魅力がありました。先生の話はいつも楽しく、90分の授業を一瞬に感じたものです。

 次に出会った国語の先生も、授業はいつも満員御礼。自分の世界に持っていくのがうまく、ざわざわしていた生徒たちも、先生が話し出した瞬間にピタッと私語をやめ、かじりつくように授業を聞いていたことを覚えています。

 ですが、先ほども述べた通り、彼らが教える内容自体は、他の先生と大差ありませんでした。

 それでもなぜ、生徒たちは先生方の話に興味が持てたのか。先生方の授業は、なぜ頭に入ってきたのか――。今あらためてこれらの点について考えたとき、カリスマ性のある講師は「理屈ではない何か」を持っているという結論に至りました。

 その「何か」とは「人間的魅力」です。

 個別指導塾はまた別ですが、集団授業を行う塾・予備校の場合、先生の話のベクトルは基本的に「一方向」です。何度も立ち止まって質問を受け付けたり、一人一人の理解度を確認したりしていると、授業が先に進まないからです。

 そのため、多くの講師は生徒の反応を細かくは見ず、どんどん授業を進めます。それは悪いことではなく、どちらかと言うとカリスマ講師たちの授業も「一方向」でした。生徒にたくさん話し掛け、「双方向」の授業をしていたから人気があったわけではないのです。

 ですが、彼らは「一方向」の情報伝達の質が高く、「授業に乗り遅れないよう、一言一句漏らさず話を聞こう」と生徒の意欲をかき立てる能力に長けていました。それは小手先のテクニックではなく、本人たちの人間的魅力によるところが大きかったと思います。

 例えば、先述した英語の先生にはとても愛嬌がありました。自身の過去の失敗談や、受験生時代の得意・不得意も包み隠さずに明かしてくれました。国語の先生は流行に敏感で、若者が好きな音楽や漫画を好んでいました。生徒たちとも趣味が合い、その話を授業に絡めながら、関心を惹くのがとてもうまかった印象です。

 当時の私にとって、こうした人間味あふれる先生方は、自分達とは違う“大人”ではなく、同じ人間なんだと感じられました。