航空自衛隊レーダー、沖縄県の北大東島村長が受け入れ方針「村民の安心・安全や人口増につながる」

AI要約

沖縄県北大東島に航空自衛隊の警戒管制レーダーを配備する計画が進行中。

北大東島は中国の海洋進出に対する防衛上の重要性が増しており、配備は警戒監視を強化する狙い。

配備により自衛隊員が常駐し、地域振興などにも期待が寄せられている。

 沖縄県・北大東島(北大東村)に航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーを配備する計画について、鬼塚三典村長は受け入れる方針を固めた。16日の防衛省による住民説明会後に正式に表明し、8月上旬までに同省に意向を伝える。

 同島は沖縄本島の東約360キロ・メートルに位置。配備予定地は北大東空港に近い村有地で、同省は6月、環境調査結果などを踏まえ、村に配備の「適地」と判断したことを説明した。

 鬼塚村長は14日、読売新聞の取材に「防衛力の強化は、村民の安心・安全な暮らしや人口増につながる。国とパイプを築ければ、救急患者の島外搬送など医療面の充実、地域振興も期待できる」と話した。

 配備の背景には、中国の海洋進出の活発化がある。中国は台湾有事の際、南西諸島とフィリピンを結ぶ防衛ライン「第1列島線」の内側に米軍を侵入させないように、制海権を確保することを第1目標としている。さらに、伊豆諸島からグアム島に延びる「第2列島線」では、米軍の作戦行動を拒む戦略を描いているとされる。

 二つの列島線の間に位置する太平洋では、2016年に空母「遼寧」、昨年は空母「山東」の航行が確認されており、空母艦載機の発着訓練を繰り返しているとみられている。ただ、空自の固定式警戒管制レーダーは現在、太平洋の島嶼部にはない。

 同省は両列島線の間に位置する北大東島に配備することで、レーダーの「空白地帯」を解消して警戒監視を強める狙いがある。25年度予算の概算要求に必要な用地取得費などを盛り込む考えだ。配備により、島内に隊舎などが整備され、自衛隊員約30人が常駐する見通しだ。