マイク切られた水俣病患者団体の男性「腹を割ってわかり合えたら一番幸せだ」…環境相と再懇談

AI要約

水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との再懇談が熊本県水俣市で再開。患者団体の要望や伊藤氏の対応についての議論が行われた。

未認定患者団体の要望に対し、伊藤氏は交通費増額や療養施設の利用可能性について考慮する方針を表明。さらに、水俣病関連の貴重な資料の保存と継承にも協力することを約束した。

最終日には離島を巡り、残る団体と面会する予定で、伊藤氏は水俣病の解決に向けて全力を挙げる意向を示している。

 水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相との再懇談が10日、熊本県水俣市で再開した。8日に続く2日目で、この日は5月の懇談で発言中にマイクを切られた男性が出席し、「双方の考え方で和解していけば水俣病は早く解決する。互いに腹を割って話をして、わかり合えたら一番幸せだ」と訴えた。伊藤氏は改めて謝罪し、「不満や憤り、困難が少しでもなくなるよう全力を挙げたい」と述べた。

 再懇談には未認定患者団体「水俣病患者連合」の約20人が出席。約5時間半にわたって断続的に行われた。

 マイクを切られたのは患者連合副会長の松崎重光さん(82)で、昨年亡くなった妻への思いを語っている最中だった。再懇談後、松崎さんは「苦しんでいる人を見たら理由はどうあれ救うべきで、救う心を保ってほしい」と語った。

 5月の懇談に同席していた熊本県の木村敬知事も参加し「県民代表として(マイクを切ったことに)反論すべきだった」と謝罪した。

 11日が最終日で、熊本、鹿児島の離島を巡り、残る団体の会員らと面会する。

 伊藤氏は、被害者救済法の対象者らに支給されている通院時の交通費を増額する意向を示し、認定患者が利用できる水俣市立の療養施設について未認定患者も使えるように働きかける方針も明らかにした。

 交通費については「船は増額する予定。(タクシーなどの)付き添いについても認める方向で動く」と述べ、来年度予算の概算要求に盛り込むよう調整する考えを示した。

 また、再懇談に出席した水俣病患者連合などが所有する水俣病関連の貴重な資料約28万点について、保存、継承に協力することも約束した。