生活支援の議論平行線、伊藤大臣「環境省の一存で決められない」 水俣病患者団体側は確約誓約書への署名求める 再懇談、11日は長島町獅子島で対話

AI要約

水俣病患者連合が環境相との再懇談で療養や福祉制度の拡充を要望

環境省側の具体的な回答がないことに団体が反発し、誓約書の署名を求める

未認定患者に対する療養手当の増額や福祉施設への改善を求め、議論は平行線

生活支援の議論平行線、伊藤大臣「環境省の一存で決められない」 水俣病患者団体側は確約誓約書への署名求める 再懇談、11日は長島町獅子島で対話

 水俣病患者団体らと伊藤信太郎環境相との5月の懇談で環境省職員が被害者の発言中にマイクを切った問題を受け、設けられた再懇談2日目が10日、熊本県水俣市であった。水俣病患者連合は生活が困窮しているとして、療養や福祉制度の拡充を要望。伊藤氏は「検討するが、環境省の一存では決められない」と応じるなど議論は平行線だった。団体は、伊藤氏に要求に対する回答を確約する誓約書に11日までに署名するよう求めた。両者は実務者協議を7、8月に数回開くことを確認した。

 環境省側が「検討する」と繰り返し、具体的な返答がないことに団体は反発。十数年前から同じ内容の要望書にこれまで全く回答がなかったことを踏まえ、誓約書を求めた。

 水俣病の歴史を伝える「水俣病センター相思社」に2度の政治決着で救済された未認定患者計約30人が集まった。団体側は、伊藤氏に「若い頃から虚弱で定職に就けなかった低所得層が多い」と訴え、未認定患者が入所できる福祉施設や通院時の交通費といった療養手当などの増額を求めた。

 伊藤氏は「今の予算の枠組みや制度で対応できるものは早急にする」と返答した。団体が要望した認定患者専用の水俣市立の療養施設「明水園」への未認定患者受け入れについては、「関係機関と協議する」とした。療養手当の増額には「来年度予算の概算要求に盛り込めないか検討する」と述べた。

 同席した環境省の前田光哉環境保健部長によると、医療手帳や水俣病被害者手帳の交付対象となった未認定患者への療養手当の金額は閣議決定などを経て定められており、来年度予算に盛り込むハードルは高いという。

 団体の永野三智事務局長は「被害者は高齢化し相次いで亡くなっている。国や熊本県にとって被害者に償いができる最後のチャンス」と強調した。

 再懇談は8、10、11の計3日間の日程。最終日は鹿児島県長島町獅子島で「水俣病被害者獅子島の会」と対話する予定。