旧統一教会に献金1億円超…救済を阻む“念書”有効性は?最高裁で争点に

AI要約

86歳の旧統一教会信者が1億円以上の献金をし、脱会しようとする際に署名した“念書”には『私は返金を請求しません』と記載されていたが、その後遺族が返金と念書の無効を求めて裁判を起こし、最高裁で弁論が始まった。信者の母親は認知症と診断され、教団によって動画で署名が正当化されていた経緯が報告された。

信者の遺族は10日、返金と念書の無効を求める最高裁の弁論が行われ、遺族側の訴えが認められる可能性が示唆された。事件は2015年に発覚し、長期にわたる争いの末に遺族が最高裁に上告するまで至った。

母親を通じて遺族が献金の事実を知ったことで訴訟が起こされ、教団側に返金を要求したが、教団は母親の署名を得た念書によって拒否した。また、母親が認知症になった後に行われた署名や動画撮影は、遺族に強い不信感を抱かせた。

旧統一教会に献金1億円超…救済を阻む“念書”有効性は?最高裁で争点に

旧統一教会が、1億円以上の献金をし、その後に脱会しようとしていた86歳の信者と交わした“念書”には『私は返金を請求しません』と書かれています。この信者の遺族が10日、返金と念書の無効を訴えた裁判の最高裁での弁論が始まりました。

母親が旧統一教会の信者だった、中野容子さん(仮名)。7年前、母親がした1億円以上の献金の返還を求め裁判を起こしましたが認められず、最高裁に上告。10日に双方が意見を述べる弁論が開かれました。

弁論は、これまでの判断を変えるのに必要な手続き。中野さんの訴えを退けた判決が見直される可能性があります。裁判前日、心境を明かしてくれました。

中野容子さん(仮名)

「弁論が開かれることになったのは、うれしい気持ちはあります。今までもあまりにも長い、本当に時間がかかったので」

中野さんが献金を知ったのは2015年のこと。80歳を超えた母親のこんな一言でした。

中野容子さん(仮名)(2022年11月)

「『全部お金とられた』と『もう嫌だ』とぼそっと」

調べると、父親の株や果樹園までも売却して1億円以上もの献金をしていました。中野さんは母親とともに教団側に返金を求めます。すると、教団側から示されたのが母親の署名が入った念書でした。

「返還請求などを一切行わないことを、ここにお約束します」

さらに、教団はこんな動画まで撮影していました。

旧統一教会が撮影した動画(2015年)

中野さん(仮名)の母親

(Q. 書類はどちらもご自身の認識に一致するということで手続きしたのですか)

「はい」

(Q.家庭連合に返金請求をすることになっては断じて嫌だということで、本日手続きされたということですね)

「はい」

この約半年後、母親は認知症と診断されました。

中野容子さん(仮名)

「よく物の分かってない母親に平気でああいうことをして、しかもそれを動画に撮る。まともじゃないと思います」