鮮度で支持される宅配すし「銀のさら」や「釜寅」を展開 江見朗・ライドオンエクスプレスホールディングス社長

AI要約

1998年に宅配すし店を始めた経緯と成功の秘訣について語られています。

市場シェアのトップを獲得した経緯や競合他社との違いについて述べられています。

従業員のモチベーション向上や品質管理に注力する姿勢が強調されています。

鮮度で支持される宅配すし「銀のさら」や「釜寅」を展開 江見朗・ライドオンエクスプレスホールディングス社長

── 1998年に宅配すし店を始めたきっかけは何ですか。

江見 高校を卒業後、米国のすし店で7年半、働きました。現地でサンドイッチ店「サブウェイ」がはやっていたのを見て、帰国後の92年、岐阜市にサンドイッチ店を開業しました。ところが一方通行の裏路地の半地下とあって売れない。そこで台車に載せて売り歩き、宅配に力を入れたらすごく売れました。ただ、サンドイッチは昼に売れても夜は売れません。「夜に売れるものといえば、米国で職人として握ったすしだ」と考えて98年に宅配すし店を始めました。

── 市場シェアがトップだそうですね。

江見 はい。開店当時、宅配すし市場は今よりずっと大きく、チェーン運営会社が何十社もありました。それから約25年たった今、全国展開の宅配すしチェーン、料理宅配チェーンの上場会社は日本で当社しかありません。

── 宅配すしチェーンが減った理由は何ですか。

江見 一つ目は、毎回決まった目的地に配送することが多い運送業と違い、料理宅配は注文ごとに配送先が異なります。単価も比較的低く、料理の鮮度を管理しながら運ぶ難しさがあることです。

 二つ目は、当社の規模でも薄利ですから、規模がもっと小さい会社は仕入れ単価が高くなり、理論上ビジネスとして成立しません。当社は加盟店を創業後1年4カ月で200店も一気呵成(かせい)で出店し、コストダウンして利益が出る形にしました。

── 他社と差別化する強みは何ですか。

江見 一部の回転すし店のようにあらかじめスライスしておいたネタを解凍して機械でシャリに載せるのではなく、マグロ、サーモン、ハマチなどを現場で切る、人が握るといった工程を大事にしています。そうしないと鮮度が悪くなるし、運んでいる間に振動でバラバラになってしまいます。第一、人が握らないとおいしくなりません。

 従業員のモチベーションを高めることにも力を入れています。一般の飲食店の従業員は同じ屋根の下で仕事しますが、当社の配送員は店を出発したらサボるかもしれません。生命線の一つであるチラシ配りにも上司の目が届きにくい。従業員のモチベーションを上げる必要があります。