「夜中に目が覚めて眠れない」 50代から急激に低下する眠る力。加齢による「眠れない」に専門医がアドバイス

AI要約

加齢による睡眠力の低下について、睡眠専門医の坪田聡先生が解説しています。

脳の老化が睡眠力の低下に与える影響や、眠りの役割についても詳しく説明されています。

特に成長ホルモンの放出が多い深い眠りのゴールデンタイムを把握し、良質な睡眠をとることの重要性が強調されています。

「夜中に目が覚めて眠れない」 50代から急激に低下する眠る力。加齢による「眠れない」に専門医がアドバイス

人は誰でも年齢を重ねると「熟睡できない」「目が覚める時間がどんどん早くなる」など、「睡眠力」が低下してしまうもの。

加齢で「うまく眠れない」ことに焦りやストレスを感じる人も少なくありません。

そこで加齢による「睡眠力」低下の仕組みやその対策について雨晴クリニック院長の坪田聡先生にで教えてもらいました。

【坪田聡(つぼた・さとる)】

医師・医学博士。雨晴クリニック院長。日本睡眠学会、日本医師会所属。

「快眠で健康な生活を送ろう」をコンセプトに、睡眠専門医として20年以上診療にあたる。2006年、生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、睡眠コーチングを創始。07年から「All About」睡眠ガイドとなる。『睡眠は50歳から「老化」する』(大和書房)、『快眠ごはん』(海竜社)など著書多数。

「もっと寝ていたいのに、目が早く覚めてしまう」「夜中に目が覚めて眠れない」「眠りが浅く、何度も目が覚めてしまう」……。すぐに熟睡できた若い頃に比べて、そんな眠りの悩みを感じているのであれば、加齢で睡眠力が落ちてきたからかもしれません。

睡眠力とは、質の高い睡眠をとる力のことを指します。睡眠力が低下すると眠りが浅くなり、脳や体の疲れを回復しにくくなります。睡眠の専門医である坪田聡先生は、「睡眠力は加齢によって低下します。50代になると急激に睡眠力が衰え、60代以上になると浅い眠りしかできない人も増えてきます」と語ります。

このように年齢とともに睡眠力が落ちるのは、脳の老化によるものです。

「脳にある松果体は睡眠ホルモンの『メラトニン』を分泌しますが、老化でその機能が衰えてしまいます。睡眠サイクルを司る睡眠中枢も同様に働きが鈍るなど、さまざまな脳の老化現象が睡眠力を低下させてしまうのです」

加齢と睡眠力の関係を考える前に、「眠りの効果」についておさらいしておきましょう。眠りには大きく2つの役割があります。

「ひとつは深い眠りによって日中の活動で疲れた『脳と体をクールダウン』すること。もうひとつが『脳と体のメンテナンス』です。寝ている間に分泌する成長ホルモンが細胞を修復・再生して疲労を回復、免疫機能や認知機能にも作用します」

成長ホルモンというと、成長期の子どもに必要なホルモンと勘違いしがちですが、大人にとっても欠かせない重要なホルモンです。成長ホルモンは、眠りについて最初の深い眠りで最も大量に放出されます。これを「成長ホルモンシャワー」と呼び、寝付きから3~4時間が睡眠の「ゴールデンタイム」となります。

「成長ホルモンは健康にも美容にも効果がある『若返りホルモン』です。このゴールデンタイムにしっかり良質な睡眠をとることが、若々しさを保つコツとなります」