共和レザー 中核設備、半世紀ぶり更新 35億円投資 塩ビ需要に対応

AI要約

共和レザーが約35億円を投資して半世紀ぶりに中核設備をアップデートする。

デジタル技術を取り入れ、製品の品質と安定性を向上させる取り組みを行う。

塩ビの需要拡大に備え、カレンダー機の更新を通じて競争力を強化する。

共和レザー 中核設備、半世紀ぶり更新 35億円投資 塩ビ需要に対応

 車両向け合成表皮材で国内最大手の共和レザー(本社浜松市)は、主力のポリ塩化ビニール製表皮を生産する中核設備「カレンダー機」を約半世紀ぶりに更新する。天竜第1工場(浜松市)に約35億円を投資し、2028年3月期中に後工程の設備も含めて完了する。最新鋭の設備に入れ替え、時間当たりの生産性を約2割向上する。塩ビはコスト競争力や再利用のしやすさから需要拡大が見込める。大型投資に踏み切り、追い風を捉える。

 カレンダー機は、樹脂材を混ぜて練った後にシート状に圧延する設備だ。表皮の特性や品質など競争力を左右する重要な役目を担っている。

 天竜第1工場のカレンダー機全2基のうち1基を更新する。同社として第2世代のカレンダー機の第1弾になる。更新する設備は導入から約70年が経過していた。

 更新に合わせ、デジタル技術を取り入れる。製品は外気温などに品質が影響されやすい。熟練の作業者の経験に基づき設備の調整を行っているが、製品の出来にばらつきが生じる課題があった。蓄積してきた生産データを生かし、最適に制御できる仕組みを導入する。安定的に品質を確保し、不良率を現在に比べ5分の1に減らす目標だ。

 また、設備自体も小型化する。設備の体積は現在に比べ10分の6~7程度になる見込み。設備の小型化に伴い省エネルギー化の効果も引き出し、二酸化炭素(CO2)排出量を2分の1に減らす。

 塩ビは、車両用表皮材の売上高の約6割を占める主力製品だ。コスト競争力の高さや再利用しやすい特性が支持されてファブリックやウレタンから置き換わるように採用が増えている。「今後も塩ビの需要拡大が続く」(花井幹雄社長)とみており、中核設備のカレンダー機の更新に踏み切る。

 同社は31年3月期までの7カ年の中期経営計画を策定した。7年間の設備投資は計270億円と、過去7年間に比べ約6割増やす。設備の生産性改善などにより、31年3月期の営業利益は24年3月期比2倍の50億円を目指している。