【年金の落とし穴】結局、いつ受給が得?繰上げ・繰下げ受給と「損益分岐点」のシミュレーション
偶数月に支給される公的年金について、年金の繰上げ・繰下げ受給のメリットやデメリット、損益分岐点について解説。
厚生労働省の統計データを元に、国民年金と厚生年金の繰上げ・繰下げ受給率を示し、考察。
額面ベースでの損益分岐点を計算し、実際の社会保険料との関連性についても言及。
偶数月に支給される公的年金。次回の支給日は、8月15日(木)に予定されています。
年金を繰上げ受給すると、65歳時点で受け取れる年金額から1ヶ月あたり0.4%(1932年4月1日以前生まれの方は0.5%)減額された金額が支給されます。
一方で、繰下げ受給すると、65歳時点で受け取れる年金額から1ヶ月あたり0.7%増額された金額が支給されます。
減額または増額された年金額は一生涯続くため、長生きリスクに備えるためには繰下げ受給が有用な選択肢といえるでしょう。
この記事では、年金を何歳から受給するのが得なのかを解説します。
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厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年において年金の繰上げ・繰下げ受給をしている人の割合は以下のとおりでした。
・国民年金:繰上げ受給率10.8%・繰下げ受給率0.7%
・厚生年金:繰上げ受給率2.0%・繰下げ受給率1.3%
資料からは、国民年金を繰上げ受給している人の割合がやや高いものの、それ以外は低い数値となっています。
次の章では、年齢別に額面上の「損益分岐点」を計算してみました。年金の開始時期をじっくり考えていきましょう。
減額と増額の影響を踏まえたうえで、額面ベースの損益分岐点を検証しましょう。
●繰上げ受給の場合
繰上げ受給をすると、65歳時点で受け取れる年金額から減額された年金が、一生涯支給されます。
65歳から繰上げする場合における損益分岐点は以下のとおりです。
・60歳から受給:80歳10ヶ月以降は65歳から受給したほうが得
・61歳から受給:81歳10ヶ月以降は65歳から受給したほうが得
・62歳から受給:82歳10ヶ月以降は65歳から受給したほうが得
・63歳から受給:83歳10ヶ月以降は65歳から受給したほうが得
・64歳から受給:84歳10ヶ月以降は65歳から受給したほうが得
●繰下げ受給の場合
繰下げ受給をすると、65歳時点で受け取れる年金額から増額された年金が一生涯支給されます。
65歳から繰上げする場合における損益分岐点は以下のとおりです。
・66歳から受給:77歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・67歳から受給:78歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・68歳から受給:79歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・69歳から受給:80歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・70歳から受給:81歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・71歳から受給:82歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・72歳から受給:83歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・73歳から受給:84歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・74歳から受給:85歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
・75歳から受給:86歳11ヶ月以降は繰下げ受給したほうが得
ただし、シミュレーションはあくまでも額面ベースに基づいています。
実際には受給できる年金額が増えるほど社会保険料も増えるため、手取りベースで見るとズレが生じる点に留意してください。
繰上げ受給と繰下げ受給をしたときの損益分岐点について解説しましたが、そもそも年金は損得で判断すべきものではありません。次の章で詳しく解説します。