土用の丑の日 「特大」ウナギ人気 背景に生産者、消費者双方の事情

AI要約

土用の丑の日に合わせた商戦が熱を帯びており、特大サイズの蒲焼きが人気となっている。

ウナギの価格高騰により、生産者は飼育期間を延ばして大きなウナギを出荷し、消費者も大型の蒲焼きを好む傾向がある。

大きな蒲焼きはグラム当たりの価格が下がるため、経済的な面でも魅力があるとされている。

土用の丑の日 「特大」ウナギ人気 背景に生産者、消費者双方の事情

 「土用の丑の日」(24日)に合わせた商戦が熱をおびている。スーパーの売り場で目立つのは特大の蒲焼きで、一般的なサイズより2倍近いものも。ウナギの価格が高騰する中で、生産者、消費者双方の事情で「特大」人気が起きている。

 23日、福岡市東区のイオン香椎浜店で買い物客が次々に蒲焼きを手に取っていた。国産の超特大(250グラム、税別2880円)、特大(200グラム以上、同2680円)が人気という。運営するイオン九州では蒲焼きを例年、鹿児島や宮崎、中国などから仕入れている。200グラム以上の割合はここ数年増加が続き、今年は約3割になった。

 ウナギは活魚で200グラム、蒲焼きにすると140~160グラム程度が一般的だった。うな重の箱にきれいに収まる大きさで、一人前の量にちょうどいい。養殖業者はこのサイズを中心に出荷してきた。ただ近年は稚魚のシラスウナギの不漁で価格が高騰。限られた稚魚で有効に生産量を増やそうと、飼育期間を延ばしてウナギを1・5倍ほどのサイズに成長させて出荷する動きが起きている。

 消費者側も大型の蒲焼きを好み、「特大サイズから早く売れる」(イオン九州担当者)という。理由はやはり価格の高騰だ。140~160グラムの蒲焼きでも国産なら2000円を超える。このため、家族の人数分買うのではなく、大きな蒲焼きを分ける食べ方が浸透してきたという。大きくなるほどグラム当たりの価格は下がり、経済的でもある。

 イオン九州は「包丁を使わない家庭や、魚を切り分けるのに抵抗がある人も増えている。気軽にウナギを食べてほしい」とあらかじめ小さく切り分けるなど工夫し、7月の商戦を通して前年並みの売り上げを目指すという。【久野洋】