毎朝始業前にマラソンを強要、遅刻すると“罰金5千円”…退職代行業者が見た「建設会社の謎ルール」

AI要約

会社に辞めたいと伝えられない人が増えている中、近年注目されているのが「退職代行」のサービス。利用者は20~30代が中心で、労働環境や人間関係のストレスが主な要因となっている。

コロナ禍において在宅勤務が増え、人間関係のストレスが軽減されたことで、一時的に退職代行の依頼件数が下がった。労働環境の悪化による退職も多いとされる。

退職代行サービスを利用するケースでは、会社側の対応が理不尽であることが多く、自らの意志で退職を決断できない人が多い。外部の相談機関やサービスを活用することが有効な解決策となる。

毎朝始業前にマラソンを強要、遅刻すると“罰金5千円”…退職代行業者が見た「建設会社の謎ルール」

日本国憲法22条において、私たちの「職業選択の自由」は保障されている。とはいえ、様々な事情で会社に「辞めたい」と伝えられない人も多い。

そんなニーズの高まりによって、近年注目を集めているのが「退職代行」のサービス。どんな人がどんな時に利用しているのか。退職代行サービス「SARABA」を運営する退職代行SARABAユニオンの執行委員長、岡本大輝氏に話を聞いた。

同事業を立ち上げて約6年、「SARABA」では4万5千件以上の退職の代行業務を取り扱ってきたという。利用者の年代としては20~30代が8割近くを占め、男女比は半々程度だという。岡本氏は、前提として全体的な傾向を教えてくれた。

「就業年数だと3年以内の方が中心で、性格的には気弱で真面目な方が多い印象です。パワハラまがいのことに遭っても声をあげられなかったり、退職を申し出た際に引き止められたりした場合にご連絡をいただくことが多いようです」

多くの場合、労働環境か人間関係のいずれかが要因となって退職に思い至るというが、ここ数年の働き方の変化によって、依頼数にも影響があった。

「コロナが広まった時期は依頼件数が一気に下がったんですよ。在宅で仕事をする方が増えたので、人間関係のストレスから解放された方が多かったのだと推測されますね」

要因のひとつとなっている労働環境について、岡本氏はある飲食店勤務の男性の例を示す。

「入社して間もなく、現場の経験がないのに突然店長にさせられた方がいました。アルバイトで埋まらないシフトは自分が入るしかなくて、1日15時間労働を何日も続けられていました。それでも給料は変わらないという状況だったんです」

やむなく会社に申し出ても、のれんに腕押し状態だったという。

「会社からは『店の責任者なんだから』『お前しかいないんだから』と、相手にしてもらえず……。疲労もあってか、催眠にかかったような状態になっていましたね」

何よりの解決策は、会社外の人に相談することだろう。だが、こちらの依頼者の場合は、それも叶わなかった。

「ご両親にも相談されたそうなのですが、『これも社会勉強のひとつだから』とか『すぐに辞めるのではなく、とりあえず3年は働いてみなさい』と逆に諭されてしまったようです」